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建設工事業の年間総労働時間は?遵守すべき時間外労働の上限を解説

2025.07.21
分類:総務

建設工事業の年間総労働時間は、全産業平均よりも長めです。

 たとえば、2022年度の厚生労働省による調査では、建設業の年間総労働時間は1,966時間程度となっており、全産業平均の約1,633時間と比べてもかなり長いといえます。

 しかし、20244月からは時間外労働の上限規制が適用されたため、長時間労働を是正する取り組みも進んでいます。

 そこで、建設工事業の労働時間が長い理由や、時間外労働の上限について解説します。

建設工事業の労働時間が長い理由

 建設業の残業時間が長くなりがちな理由として、以下が挙げられます。

 ・現場の人材が不足している

・設定された工期に間に合わせることが必要である

・事務書類の処理負担が大きい

 設定されている工期に、天候などの影響で間に合わなくなる恐れもあります。

 天候不良で作業ができなかった場合には、取り返すための残業が発生する場合もあるといえます。

 また、建設業は施工計画書などのはじめとした様々な書類を取り扱うことになるものの、必要書類は発注者によって異なります。

 大規模工事では取引先も増えるため、さらに書類処理に手間や時間がかかることになるでしょう。

  

 建設工事業の時間外労働の上限

 建設業は、18時間・1週間40時間の法定労働時間と、1週間に1日の法定休日を超えた労働の際に必要な36協定の適用除外業種でした。

 36協定とは、労働基準法第36条に基づく労使協定を労働者と使用者で結び、労働基準監督署長への届出を行うことです。

 2019年からは働き方改革関連法が施行され、時間外労働の上限規制に関しても、大企業は20194月から、中小企業も20204月からスタートしています。

 建設業は5年間の猶予期間が設けられていましたが、20244月から開始し、時間外労働の上限は月45時間・年360時間までになりました。

 この時間を超えた労働はできないものの、特別な事情のもと労使間で合意していれば、例外的に上限を超えて働いてもらうことはできます。

 ただし、時間外労働が年720時間以内であることと、時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満の範囲に限ります。

 さらに月45時間を超えた労働は、年6か月までであるため注意しましょう。

 

 特別条項による時間外労働の上限

 特別条項による時間外労働の上限は以下のとおりです。

 1年間の時間外労働は720時間以内

・時間外労働と法定休日労働の合計は1か月100時間未満(26か月それぞれの平均がすべて1か月あたり80時間以内)

36協定対象期間の時間外労働は(休日労働は除く)、原則1か月45時間以内かつ年間360時間以内

 なお、違反した場合は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金の対象となるため、必ず遵守しましょう。