
建設工事現場では、アスベスト(石綿)による健康被害に注意が必要です。
アスベスト(石綿)とは、肺がん・中皮腫・石綿肺などの原因となる恐れがある物質で、実際に扱ってから長い年月の潜伏期間を経て発症することもあります。
そのため、健康被害を受けた方を対象として、建設アスベスト給付金制度・労災保険・石綿健康被害救済制度などの救済制度も設けられています。
そこで、建設工事業における健康被害について、アスベスト(石綿)によるリスクを解説します。
アスベスト(石綿)とは、天然に産する繊維状けい酸塩鉱物であり、「いしわた」や「せきめん」とも呼ばれます。
極めて細かい繊維のため、研磨機や切断機などの施設での使用や、飛散しやすい吹付け石綿などの除去などで、適切な措置を行わなければ飛散してしまいます。
飛散した石綿を人が吸入すると、肺がんなどの重篤な健康被害を起こす原因になります。
かつては断熱材や保温などで、建材に広く使われたアスベストは、有害性が認識されたために現在は製造・使用が禁止されています。
石綿は、飛び散ることや吸い込むことが問題となるため、労働安全衛生法や大気汚染防止法などで飛散防止における対策が講じられています。
アスベスト(石綿)は、肺がんを起こす恐れがあるなどの健康被害が報告されています。
健康被害は実際にアスベストを扱ってから、長い年月を経てあらわれます。
たとえば、アスベストを原因とする中皮腫は、平均35年前後の潜伏期間の後で発症することが多く、定期的に健康診断を受けることが必要です。
なお、労働基準監督署の認定を受けて業務上疾病とされた場合、労災保険で治療できます。
アスベストを吸い込んだ量と、中皮腫や肺がんなどが発症することは、相関関係が認められています。
しかし、短期間の低濃度ばく露の発がん性リスクは、不明な点が多いともされています。
そのため、どれくらいのアスベストを吸いこむと、中皮腫になるのか明確にはわかりません。
アスベストを扱った場合、定期的な健康診断で早期発見・治療を行うことが必要です。
建設現場でアスベストを扱う作業で健康被害を受けた場合には、労災保険や石綿健康被害救済制度、建設アスベスト給付金制度から給付金が支払われる可能性もあります。
アスベストを吸い込んだ可能性があり、咳や胸痛、呼吸困難などの症状が見られる場合は、労災病院等の専門医療機関に相談しましょう。