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労基署で行う労災保険の手続きは建設業界の場合は独特?

2020.08.04
分類:総務

建設業界で加入する労災保険は、一般的な労災保険と同じではありません。

建設工事の元請業者も労災保険に加入していますが、その保険は元請業者だけでなく下請業者の労働者の労働災害も補償対象となります。

さらに労災保険で支払う保険料も、元請工事の金額が基準となるなど、一般的な業種が加入する労災保険とはいくつも違うところがあります。

労基署で加入の手続きを行う上で、どのような違いがあるのか事前に把握しておきましょう。

建設工事の労災保険は元請業者が手続きを行う

建設工事の元請業者は、建設工事が開始された日から10日以内に、保険関係成立届を提出しなければなりません。下請業者の労働災害も元請業者が加入した労災保険で補償されるので、下請業者は手続きを行う必要はないといえます。

なお届出の提出が完了しているかは関係なく労災保険には自動的に加入したことになりますが、仮に加入手続きが行われていない段階で労災事故が発生すると、保険料未納状態となるので費用徴収制度が適用されてしまいます。

費用徴収制度は労災保険に加入するように、行政から指導されていたのに加入せず、労災事故が起きてしまったときです。保険金として給付される金額の100%を別途支払わなければなりません。

労災保険に加入するように行政から指導されてなかったけれど、工事開始から1年経過してもまだ未加入という状況の中で労災事故が発生した場合は、保険金として給付される金額の40%を別途支払うことになりますので注意してください。

 

建設業の場合の労災保険の管轄は労基署

さらに労災保険は、事業終了時期が予定されていない継続事業と、終了が予定されている有期事業に分けられます。

一般的な企業なら廃業や倒産などがなければ経営し続けるので継続事業に該当しますが、建設工事は工期が終了するまでの間の有期事業に該当します。

有期事業は労災保険に加入する手続きを行う場合、工事現場を管轄する労基署で行うことが必要です。

有期事業の種類

さらに有期事業には一括有期事業と単独有期事業に分類されます。

一括有期事業とは、労災保険料が概算見込で160万円未満(または確定保険料が100万円未満)の場合で、加えて請負金額が19千万円未満の場合に該当します。一定要件を満たせば工事をまとめて1つの保険で処理でき、その手続きは元請業者の本店または支店を管轄している労基署で行います。

対する単独有期事業は一括有期事業に含まれない有期事業が対象となるため、工事ごとに工事現場を管轄する労基署で手続きします。工事が終了すれば保険料の精算手続きも行いことが必要になります。

 

下請業者も雇用保険の手続きは必要

労災保険は元請業者が下請業者の労働者を含め、労働者に対し加入することになります。

下請業者は労災保険への加入手続きを行う必要はないとしても、雇用保険の手続きは必要ですので忘れないようにしてください。