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建設工事現場で働く一人親方が所得補償を考えるのなら

2020.12.15
分類:総務

建設工事の現場で働く方の中には、企業などに雇用されることなく、さらに誰かを雇用することもなく自分だけで事業主として働いている一人親方なども含まれます。

個人で工事の一部を請け負い、自分と家族などのみで建設業を営んでいるわけですが、気になるのはケガなどで働けなくなったときの所得補償です。

会社員ではないため社会保険には加入できない

一人親方とは、大工・左官・とびなど土木・建築やその他工作物を建設する仕事の他、修理や解体などいろいろなことで仕事を請け負っています。

いずれの場合でも労働者を雇用することなく、自分と家族などのみで事業を行っていることが特徴です。

会社などに雇われているわけではないため、もしケガや病気などで働けなくなったときは所得補償されないと不安を感じるケースも少なくないでしょう。

そこで必ず加入しておくべきなのが健康保険や年金です。

 

国民健康保険への加入

建設業の一人親方は国民健康保険に加入することになりますが、建設業の国保組合と市区町村運営の国民健康保険のいずれかに加入できます。

建設業の国保組合であれば、業務以外でケガや病気になったときにも治療や療養の給付、休業中の手当の給付など独自で福利厚生サービスを実施している場合もあるようです。

ただ、建設業の国保組合の母体である業種団体の会員になっていなければ加入できませんので、国保組合に加入が難しいのなら自治体運営の国民健康保険に加入することになります。

 

老後の資金への備えも検討を

一人親方は国民年金に加入することになりますが、それに上乗せする国民年金基金にも加入しておけば、老齢年金の受給額が上乗せされます。

さらに会社員であれば、リタイアの際に勤務先から退職金を受け取ることができるでしょうが、一人親方は自営業者なので退職金がありません。

そのため自分でリタイア後の資金を形成しておくことが必要となりますので、小規模企業共済などへの加入を検討するとよいでしょう。退職金の積立制度であり、掛け金全額、所得控除の対象になることがメリットです。将来退職金として受け取ったときにも退職所得控除が適用されるので、税金対策にも有効といえます。

 

一人親方でも労災保険へ特別加入が可能

そして建設現場では元請業者が一括し、下請業者に雇用されている方の労災保険も加入します。しかし一人親方は雇用されているわけではないため、労災保険の適用を受けることができません。

ただし一人親方でも労災保険に特別加入できる制度があるので、労働保険事務組合に入会し、組合を通じて加入しておきましょう。加入することによって、組合が事業主、一人親方が労働者とみなされることとなり労災保険が適用されるようになります。