建設工事現場で作業を行う従業員の方たちに、毎月支払われている給与は会社が定めた給与規程に則っていなければなりません。
当然、労働基準法を守ることはもちろんですし、建設会社が給与の支払いについて必要な項目を独自に取り決めている場合もあります。
そこで、従業員として建設会社で働くとき、適切な給与確保が行えているか改めて確認してみましょう。
給与として支払われる賃金には、直接、労働の対価として支払われるものだけではありません。
独自の規定として就業規則で定められた役職手当に時間外労働の割増賃金の他、家族手当や住宅手当といった手当や賞与、退職金も含まれています。
就業規則の賃金規程に支給条件として規定されているものは、賃金としてみなされるため、適切に支払われていることが必要です。
建設会社としても給与規程を作成するときは注意が必要ですし、従業員も記載があるのに支払われていない賃金は請求するべきです。
就業規則には絶対的必要記載事項の他、制度を設けているのなら必ず記載しなければならない相対的必要記載事項もあります。
絶対的必要記載事項には、
①始業終業の時刻・休憩時間・休日・休暇ならびに交替制なら就業時転換に関する事項
②賃金の決定・計算および支払方法・賃金の締切りおよび支払時期ならびに昇給に関する事項
③退職に関する事項(解雇の事由含む)
などを記載することになります。
対して相対的必要記載事項として、
①退職手当に関する事項
②臨時賃金(賞与)や最低賃金額に関する事項
③食費や作業用品などの負担に関する事項
などの記載も必要です。
基本給以外の毎月の手当なども、通常支給される賃金に含まれるため絶対的必要記載事項」に分類されます。
通常支給されるものは必ず、就業規則に記載されてなければなりません。
労働基準法では、常時10人以上従業員が働く企業の場合、就業規則を作成して労働基準監督署に届けなければならないとされています。
そこで規定される労働条件も、労働基準法に基づいたものであることが必要です。
作成した就業規則は、従業員がいつでも閲覧できる場所に掲示する、または交付するといったことが義務付けられています。
働き方改革関連法による、時間外労働の上限規制(建設業は2024年3月31日まで猶予期間あり)と中小企業の月60時間超の時間外労働に対する割増賃金(2023年4月施行)にも注意が必要です。
月60時間超の割増賃金に関しての項目を追記しておかなければなりませんので、2023年4月までに就業規則を変更し、それに伴い給与規程も変えることが必要になります。