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建設業界の施工会社が支払う協力会に対する会費は税法上どのような扱いに?

2021.05.09
分類:総務

建設業界の施工会社の場合、いろいろな企業を元請とし、下請として活躍されていることでしょうがその際に請負金額の何割かを協力会費として差し引かれることもあるでしょう。

たとえば建築安全協力会などは、会社同時の工事を下請けする協力会社連携と協力で、現場施工を安全に行い労働災害の未然防止の他、労働者の安全衛生意識向上と能率増進や共存共栄を図ることを目的として運営されているようです。

ではこの協力会として支払った会費について、税法上ではどのような扱いとなるのでしょうか。

下請業者が負担した協力会の会費の税法上の扱い

大手の建設企業の場合、下請業者との関係を良好で密接なもののまま継続することを目的とすることに加え、技術力向上・相互研磨・相互親睦・労働災害防止などを目的とした下請協力会が設けられています。

その下請協力会ですが、多くは契約等の整備で代表者や管理人に定めがされており、団体として組織活動を行っています。そのため単なる個人の集団ではなく、人格のない社団などと認められることによって、税法上は法人の扱いです。

そして団体に対し負担する協力会などの会費については、団体が構成員に対し行う役務提供との間に、対価関係が明確に存在するかにより資産譲渡の対価か判定されます。

それはサービスの提供が消費税の課税対象になるかということです。

消費税の課税対象かの判定方法

判定が難しい場合には、団体が資産譲渡などの対価として消費税の課税対象に含まないものと継続し、さらに会費を負担する建設事業者が支払いを課税仕入に含めていないこととする場合には消費税課税対象に含まない処理が認められます。

なおその場合、消費税法の基本通達にて、団体から構成員に対しその旨を通知するものとされています。

そのため支払われた会費を課税仕入に含めるかどうかについて、負担する会費の性質や団体での処理や通知を確認した上で判断することが必要となるでしょう。

団体として通常業務を運営するため、経常的に必要な費用を構成員に分担させており、団体の存立を図る通常会費などについては、資産譲渡の対価に含まず消費税の課税対象にはならないと判断できます。

 

そもそも協力会に会費を支払うメリットとは?

協力会などで会費を負担することに疑問を感じる下請業者もあるでしょうが、実は建設業だけでなく製造業などでも多く見られます。

会費を負担し協力会として加わることで、高い施工力と信用力を保持することの証明となり、仕事の情報も優先して入手可能となるなど継続受注がしやすくなるといったメリットもあります。