職業病とは、仕事が原因でかかる病気のことであり、労災保険が適用されます。
建設業のすべての職種に渡る職業病の中でも、呼吸器疾患は労災申請されることの多い病気といえますが、どのようなことが原因でかかってしまうのかご説明します。
劣悪な労働環境で働き続けることにより、職業病にかかってしまうことがありますが建設業も無視できない問題です。
職業病とは、特定の職業や業務に携わることにより、疾患を発症してしまうことで業務上疾病と呼ばれることもあります。
建設業においては石油精製や塗装で化学物質を使用したことよりがんを発症するケースの他、トンネルの建設工事で粉じんを吸い込みじん肺を発症するケースなどが該当します。
じん肺とは粉じんによる肺の疾患のことを指しています。
そもそも人の身体には、体内に異常な物質が入りこむことを防ぎ排出する機能が備わっています。
しかし日常的に建設現場で行われている建材の研磨や切断作業などで発生する微細な粉じんには機能が追いつきません。
吸い込んだ粉じんが肺に蓄積されることになってしまいますが、すぐに肺組織の異常が発生するわけではなく、15~20年など長い年月をかけ進行しながら肺機能を衰えさせます。
症状としては、せき・たん・息切れ・呼吸困難などがあらわれるようになり、進行すると階段の昇り降りも苦しい状態となって酸素ボンベを手放すことのできない状態になってしまいます。
失われた肺の機能はもとに戻ることはなく、機能が低下すれば酸素を取り入れることができなくなるため、他のいろいろな器官にも影響を及ぼします。
じん肺は粉じんの種類により細かく分類されますが、特にアスベスト(石綿)が原因物質でる「アスベスト肺(石綿肺)」は大きな問題となっています。
アスベストは耐火性や耐久性に優れるため、過去には様々な製品に利用されていました。
しかし2004年10月には利用が禁止されるようになったのですが、すでに輸入されたアスベストのほとんどは建築材料として使われています。
アスベストと関連することが明らかな疾病には、
・石綿肺
・肺がん
・中皮腫
・良性石綿胸水
・びまん性胸膜肥厚
などが挙げられます。
通常、肺がんは喫煙などが原因と診断されることが多いため、労災保険手続がされないケースもあります。
しかし直接アスベストを扱っていない労働者でも、周辺作業で間接的にばく露を受け病気を発症していることもあるため、たくさんの建設労働者が職種を問わず被害者になっていると考えられます。
アスベストによる疾病は、長い潜伏期間を経た後に突然発症するため、定期的に検診を受けるようにしてください。