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建設業が業務繫閑休暇など付与する以外で繁閑に対応する方法とは

2021.09.09
分類:総務

建設業にも繁忙期や閑散期はあるものですが、業務繁忙期に年次有給休暇の請求をされたときにはどのような対応が望ましいのでしょう。

業務繁閑休暇など別途休暇を付与することも考えられますが、そもそも事業の正常な運営を妨げるときには、年次有給休暇を他の時季へ変更することが可能となる時季変更権が会社にはあります。

本来は従業員が請求した時季に与えることが必要

労働基準法第39条では、従業員の年次有給休暇日数の範囲内で、年次有給休暇の始期と終期を特定し時季指定したときには年次有給休暇が成立するとされています。

ただし客観的に見て、事業の正常な運営を妨げるときに該当し、それを理由に使用者が時季変更権を行使すればこの限りではありません。

原則、従業員が請求する時季に年次有給休暇を与えることが必要でも、取得直前の請求や長期に渡る連続休暇の請求など、事業の運営を無視した従業員の好き勝手な請求は通らないということになります。

 

使用者の時季変更権とは?

使用者(会社)の権利といえる時季変更権は、事業の正常な運営の妨げとなるときに、従業員から請求された年次有給休暇を他の時季に変更することが可能となる権利のことです。

時季変更権の行使は、事業規模や事業の内容・担当業務の性質や内容・業務の繁閑と代替者の配置が可能かなど、総合的に見て判断されます。

そのため時季変更権を行使するよりも、会社側の事情を従業員に十分説明し理解を求めるよう努めたほうがよいと考えられるでしょう。

行使された時季変更権が有効か争われたときには、有効と判断されるハードルが非常に高いからです。

そもそも時季変更権は年次有給休暇取得の申し出が殺到してしまい、代替要員を確保することが難しいときなど、事業の正常な運営が妨げられてしまうときだけ行使可能な権利といえます。

業務繁忙期に年次有給休暇を請求されれば会社としては正常な運営ができないと判断したくなるものですが、代替要員など確保できるときには正常な運営の妨げになると判断されない可能性もあります。

建設業は人手不足の状況が続いており、専門性の高い作業などは担当者が有給休暇を取得することで、次の作業へと進めることが難しくなってしまうでしょう。

しかし年次有給休暇の取得は従業員に認められている権利ですので、事情を十分に説明し時季を変更してもらうことに協力してもらう形が好ましいといえます。