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工事作業員の保険は建設国保ではなく社会保険への加入が必要?

2021.12.03
分類:総務

建設業の工事作業員の中には、社会保険ではなく建設国保に加入している方もいます。

実際、建設業界は社会保険への加入が十分でないことが指摘されていますが、国土交通省も元請けには特段の理由もないのに保険に加入させていない作業員は現場に入場させないこととしています。

しかし社会保険ではなく、建設国保も同様の保険とみなされるはずですが、実際はどうなのでしょうか。

社会保険への加入状況はたびたび確認される

国は建設業の社会保険への加入率を100%にすることを目指していますが、加入状況は国土交通省に確認されます。

たとえば、

・建設業許可・更新のタイミング

・指導や立入検査のとき

・経営事項審査・指名競争入札

などがその例です。

どのタイミングでも加入していなければ減点されるため、必ず加入しておくべきといえます。

 

建設国保のほうが会社にとってはメリットが高い?

社会保険への加入について指導が強化されている状況ですが、資金面での体力は低い建設業者の場合、社会保険ではなく建設国保のほうがメリットは高いと感じることもあるようです。

社会保険は保険料を労使折半する必要があるため、加入する工事作業員が増えれば会社の負担も増えます。

しかし建設国保は個人事業主や一人親方などが対象となるため、すでに加入しているのなら積極的に社会保険に移行させようとしない動きも見られます。

また、建設国保は所得ではなく年齢・事業所・就労形態・家族の人数などによって保険料が決まることも社会保険との違いです。

いずれにしても建設国保と厚生年金に加入すれば社会保険への加入要件を満たすため、未加入扱いにはなりません。

 

建設国保と厚生年金で社会保険加入扱いに

健保適用除外の手続をすれば、厚生年金と建設国保で社会保険に加入している取り扱いにできますし、協会けんぽへ移行する必要もありません。

しかし元請けなどが社会保険を重視し、建設国保を脱退して社会保険へ加入しなおすよう求めるケースもあるようなので、その場合には建設労働組合などに相談してください。

なお、建設業界はケガなどのリスクの高い作業が多いため、万一入院などが必要となったときに国保の補償は手厚いとはいえないことは留意しておく必要があります。

未加入であればなおさら様々なリスクを高めることになるため、どの保険にも加入していない工事作業員がいる場合にはすぐにでも手続を取るべきです。

社会保険は会社のコスト的な負担は大きいですが、工事作業員の会社に対する忠誠心を高める助けにはなる可能性がありますので、それも踏まえて建設国保か社会保険か決めるとよいでしょう。