建設業は労災事故が発生しやすい業種といえますが、現場に入るときには義務付けられている手続すべてを行うことはもちろんのこと、労災保険手続で発行された労働保険番号を報告しなければ作業員が現場に入場できない取り扱いが一般的です。
そこで、建設業では労災保険の手続をすぐに行うことが必要といえますが、具体的に元請けと下請けそれぞれどのような手続がいつまでに必要になるのか、雇用保険も加入義務はあるのか説明していきます。
―労災保険関係成立票は、すべての現場に掲示することが必要とされています。
元請け業者は、次の期限を守り手続を行うようにしてください。
・工事を開始するときの労働保険の期限
・保険関係成立届(有期)…工事開始から10日以内に労働基準監督署に届ける
・概算保険料申告書…工事開始から50日以内に労働基準監督署に申請
・確定保険料申告書…工事終了から50日以内に労働基準監督署に申請
なお、請負金額1億8千万円未満または概算保険料160万円未満の工事は、年1回の手続で一括して届出できます。
現場に入場するためには国の労災保険に加入することが重要となるため、元請け業者は次の期限を守り手続を行うようにしてください。
・保険関係成立届… 現場に入場するとき労働基準監督署に届出
・概算保険料申告書…保険関係成立日から20日以内に労働基準監督署に申請
下請けだけで元請けがなければ、法律上、現場の労働保険手続は必要ありません。
しかし発注者や元請けからの要請で、労働保険番号のない業者の入場は認めないといったケースも多くなっています。
無保険状態を解消するためにも、便宜的に労働保険手続を行うことが一般的といえるでしょう。
建設業では、株式会社など法人と個人経営の事業所で、常時使用する労働者が5人以上であれば、雇用保険・健康保険・厚生年金への加入が義務付けられています。
そのため雇用している従業員が5人以下なら雇用保険以外は必須とはなりません。
雇用保険は人を雇用した翌月10日までに、管轄するハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出して手続します。
初めて雇用保険加入手続を行うなら、前もって保険関係成立に関する手続も済ませておくことが必要です。
個人経営事業所で常時使用する労働者が一人親方を含めて5人未満なら、雇用保険への加入は義務付けられますが、国民健康保険・厚生年金保険への加入は義務付けられません。
雇用保険への加入は管轄のハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出し、健康保険・厚生年金保険に加入するなら雇用した5日以内に所轄の年金事務所に「健康保険・厚生年金保険新規適用届」を提出する手続を行ってください。