経済産業省は毎年8月を電気使用安全月間とし、電気保安関係団体と連携した電気の安全啓蒙活動を行っています。
しかしそのときにも感電事故など電気関係工事の死亡事故報告が相次いでおり、電気の安全使用や安全作業について注意喚起を出しているようです。
そこで、なぜ電気関係工事の感電事故が多発してしまうのか、その理由や注意したいことについて説明していきます。
電流は電圧が大きい方から低い方に流れていきますが、仮に人が電線を掴むと、身体をつたわり地面へと流れ感電してしまいます。
電線に鳥が止まっているときのように人が電線を綱渡りのように歩いている場合や、足が床についていない宙に浮いた状態なら、電気が流れる場所がないため感電しないともいえます。
感電事故が起きてしまうのは、主に次の3つのケースです。
・電圧がかかっている2つの線に同時に触れたケース
・電圧がかかっている機器や電線などに触れたケース
・漏電している部分に触れたケース
この中で感電事故として多く見られるのが、電圧がかかっている機器や電線に触れたケースと、漏電している部分に触れたケースです。
家庭などでは漏電部分に触わってしまい感電する事例が多いため、より注意が必要といえます。
仮に感電事故に遭ったときには、次の3つにより影響の大きさが異なります。
・体内に流れた電流の大きさ
・体内に電流が流れた時間
・電流が流れる経路
それぞれ説明していきます。
感電したとき、体内に流れた電流は大きいほど影響が及ぶこととなり、症状も深刻になります。
たとえば1mAの電流なら、ピリッとした痛みを感じる程度で、特に人体に悪影響はありません。
しかし10mAであれば我慢できない激しい痛みを感じることとなり、100mAならわずか1秒であっても死亡率は極めて高くなります。
電流の大きさが致死量に達していなくても、体内にどのくらいの時間流れたかによって影響は異なります。
たとえば20mA以上の電流が体に流れた場合、筋肉はけいれんを起こして動けなくなってしまいます。
電線などをつかんで感電した場合、手を離したくても動かなくなるため、電流が流れ続けることを避けることができず、死亡率も高くなってしまいます。
たとえば電線を掴んで感電したときには、電流は腕から胸部をつたい、地面へと流れます。
このとき、心臓を通過すれば微弱な電流だとしても、心室細動により死亡してしまうリスクが高くなります。
感電してしまった人を救助するときも、素手で触れれば救助者の身体にも電流が流れ感電するリスクが高くなるため、電源を切ることとゴム手袋など絶縁体を使うことは忘れないようにしてください。