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ゼロ債務とは?公共工事におけるメリットやデメリットを簡単に紹介

2025.07.23
分類:リスク

ゼロ債務とは、ゼロ債務負担行為とも呼ばれており、新年度の公共工事を現年度中に発注するため、現年度に債務負担行為を設定して入札・契約を進めることです。

それにより、新年度当初から工事に着手できます。

現年度に支出のないゼロとするためゼロ債務と呼ばれます。

そこで、ゼロ債務について、公共工事におけるメリットとデメリットを簡単に紹介します。

ゼロ債務とは

 ゼロ債務とは、新年度の公共工事を現年度中に発注するため、現年度に債務負担行為を設定して入札・契約を進めることです。

 工事発注に関して、地方公共団体の単年度会計では、新年度予算が成立して入札や契約手続を進めます。

 それにより、年度当初から工事着工はできず、年度末に工事が集中しがちです。

 そこで、単年度会計の例外として債務負担行為を設定し、新年度の工事入札や契約を前年度に行えば、年度中または新年度当初での工事着工を可能にできます。

 債務負担行為の設定年度には、 前払金などの支出はありません。

 翌年度以降の支出がゼロであるため、ゼロ債務と呼ばれます。

 なお、債務負担行為とは、翌年度以降の支出を伴う契約などの行為において、議会の議決を経て設定するものです。

  

ゼロ債務のメリット・デメリット

 ゼロ債務は、前年度に新年度の工事発注を行い、新年度から早期着工できる状況をつくることです。

 それによるメリットとして、以下が挙げられます。

 ・早期の着工が可能となる…新年度からの工事着工できるため、公共事業の効率化に繋げられる

・年度間の予算を調整できる…予算の使い残しを解消できるため、年度間の予算調整がしやすくなる

・事業の計画性が保てる…事業の早期発注で、事業費確定が早まるため、計画的な予算執行が可能となる

 反対にデメリットとして、以下に注意が必要です。

 ・財政が硬直化する…一度の債務負担行為で、後年度の予算に影響を与えるため、財政の硬直化を招く恐れがある

・支出の予測が困難となる…債務負担行為により、後年度の支出が増加する恐れがあり、予算編成における予測が難しくなる

・単年度会計原則との矛盾が生じる恐れがある…債務負担行為は単年度会計原則に反するため、会計の透明性を損ねる恐れがある

・債務が増える…債務負担行為は債務を増やすため、財政負担が増加する恐れがある

・財政上のリスクがある…債務負担行為で後年度の財政運営にリスクが発生する恐れがある