
公共工事に設計ミスがあると、その責任が発注者・設計者・施工業者などのいろいろな関係者に及ぶ可能性があります。
そこで、公共工事の設計ミスの発覚においては、まず誰に責任があるのか、考えられる影響などを把握しつつ、適切な対応が求められます。
そこで、公共工事の設計ミスについて、責任の所在や対応方法を簡単に紹介します。
公共工事の請負契約は、設計図書に基づいて工事を行います。
建設工事では、工事現場と設計図書との間で食い違いが生じることや、想定外の条件が施工期間中に起こるケースもめずらしくありません。
このような事態において、公共工事を受注した受注者が責任を追及される事例も少なくなかったといえますが、設計側に大きなミスがあった場合は責任の所在が曖昧となります。
そこで、平成7年には公共工事の設計業務委託契約書のひな型「土木設計業務等委託契約書」が改定されました。
数回の改定が繰り返されて、責任の所在に関するルールとして、設計の受注者は発注者の示す設計図書または業務に関する指示に基づいた設計業務を行うことを責務としています。
そのため、公共工事の設計にあった場合の責任は、公共工事の発注者が負うことになると解釈できます。
なお、設計者または監理者の過失によるミスなら、発注者は損害賠償を請求できますが、受注者にも監理ミスを発見する義務があると理解しておきましょう。
公共工事の設計ミスの責任は、基本的には、公共工事の設計を請け負った業者が負うことになります。
設計を請け負った業者が負う損害には、たとえば以下が挙げられます。
・契約不適合修補費用
・契約不適合に起因する補修工事費用
・設計ミス対応でかかった検証費用
など
公共工事の設計ミスによる損害は、発注者から設計業者に請求します。
設計ミスで施工における追加費用が発生していれば、受注者と発注者との間で追加費用の負担方法などの協議も必要となるでしょう。
発注者・受注者・設計者など。それぞれの当事者の間で責任の所在を特定し、不当な責任まで負うことのないように交渉が必要です。
交渉などで法的な責任を誰が負うべきか、説得的に主張していくことも必要となります。
受注者である施工業者が不当な責任を負わされないためにも、工事の成果物に起こった契約不適合の原因を特定し、原因を作った当事者に責任追及していくことが求められます。