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建設工事現場で働く男女が不倫関係にあれば風紀を乱す行為として解雇が可能?

2021.03.17
分類:リスク

建設工事現場で働く方は男性だけとは限らず、女性もいることが増えました。

仮に建設会社内で働く男女が不倫の関係にあった場合、社内の風紀を乱す行為として懲戒解雇の対象とすることはできるのでしょうか。

風紀を乱す行為だとしても?

たとえば建設会社で働くAという妻子がいる社員がいたとします。その部下であるBとの不倫が発覚し、不倫は社内の風紀を乱す行為として懲戒解雇したいと考えたとき、これが後々問題にならないか悩む経営者もいるようです。

原則、会社は社員の私生活上の行為を理由として懲戒処分を下すことはできません。ただ、状況次第では不倫がその対象になることもあるといえます。

不倫が私生活上の問題にとどまっていれば、会社で禁止することはできないでしょう。ただ、不倫という男女関係が公になったことで、業務に支障をきたしている場合や、取引先からの印象悪化や対外的に悪影響を及ぼしているという場合は、解雇やその他の制裁の対象になる可能性もあります。

そのため、妻子がある身で不倫をしたAの立場や現在の業務内容、会社業種、取引先との関係などから総合的に判断することが必要となります。

 

不倫だけを理由の懲戒解雇は難しい

社員が不倫をしたことで、会社に具体的な損失が発生している場合は別として、一般的に不倫を理由に懲戒解雇は難しいといえます。

過去には社内不倫をした末に相手女性が妊娠してしまい、中絶をさせたことで就業規則に規定していた解雇事由の「著しく風紀・秩序を乱して会社の体面を汚し損害を与えたとき」に該当するとし有効とした判例もあります。

その一方で同様の事例でも、情交関係そのものは道義的には非難といえるものの、会社業務が妨害されたといえる風紀紊乱には該当しないとされ、解雇が無効となった判例もあるため、どちらともいえません。

 

いずれにしても就業規則の整備は重要

一方的に会社から解雇を伝えていなくても、もし不倫をした社員が復帰しにくいと感じている場合には、自主退職してもらうか、解雇予告手当を払い辞めてもらうよう交渉するという方法もあります。

会社ではどのようなトラブルが起きるかわかりませんし、他にも風紀を乱す行為などが発生する可能性もあります。

そのため、就業規則はしっかりと整備しておくこと、特に懲戒処分については明確に細かく規定しておくことが必要です。

社員に対する抑止効果にもつながり、仮に裁判になったときにも有利になる可能性もあります。