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建設した建物が引き渡し前に台風被害に遭ったら誰がその負担をする?

2021.06.18
分類:リスク

近年では、局地的な大雨やゲリラ豪雨といった短期間集中型の雨が降ることが増えました。

台風被害なども多くなっていますが、建設した建物を引き渡す前に自然災害の被害に遭ってしまった場合、誰がその負担をすることとなるのでしょう。

引き渡し前の台風被害の責任

建設した建物の引き渡し前に台風被害などに遭ってしまったという場合、負担は建物の発注者である建築主が負うことが多いといえます。

たとえば台風による大雨で洪水が発生し、家の中まで雨水が浸水したり家が流されてしまったりというケースもあるでしょう。

もし火災が発生したときには、引き渡されていない家は建築主の所有物となっていないため、建築会社が再建築や補修費用を負担することが一般的といえます。

しかし大雨や地震などの自然災害の場合には事情が異なる点に注意してください。

自然災害は不可抗力による災害

建築会社は万一に備えて保険に加入しているものですが、洪水や地震などの自然災害は不可抗力による災害のため、誰の責めにも帰することのできない事由とされています。

そのため保険ではその損害をカバーできず、別途補填しなければならない部分は、建築主が負担することが一般的といえます。

ただし、大規模災害が起きてしまったという場合には、国の補償などが割り当てられることもあるようです。

 

国の補償が足らないのも問題

近年では異常気象ともいわれ、想定していなかったエリアでも自然災害が発生することが多くなりました。

台風被害などもその例といえますが、実際に台風による被害を受けた建物を見ると、被災した住宅再建に関する課題が残されているといえます。

家に住み続けるには支障があると考えられる被害があっても、災害救助法で支援してもらえる対象になるとは限りません。

仮に半壊と判定されれば、修復にかかる費用を支援してもらえても、判定されずに壊れたままの家で暮らさなければならない被災者は多くいるようです。

支援により浴室などの修理はできても、その他の損傷部分は修理費を出してもらえず、住宅の再建に結びついていないといったケースも少なくありません。

台風被害で目立つのは屋根や外壁の部分的な破損であり、災害救助法では支援対象になりません。過去にはこのような一部が破損した住宅について、国土交通省でも既存の支援制度を活用した特別措置を設け、屋根瓦の修理費を補助といった方針も出されました。

しかし災害が発生するたびに特別措置で支援するのではなく、そもそもの住宅を再建させる仕組みを見直すことが必要といえます。