建設工事のリスクに備えて保険に加入することもありますが、その際、「管理下財物」という言葉が出てくることがあります。
一般的に使われる言葉ではないため、何を意味するのかよくわからないという方もいることでしょう。
そこで、建設工事における管理下財物とは何を指す言葉なのかご説明します。
管理下財物とは、事業活動において占有もしくは使用する財物や、作業を直接加えている財物や借りている財物を指しています。
正式な「管理下財物」の一般的な定義は、
・占有または使用している財物
・直接作業を加えている財物
・他人から借りている財物
とされており、財物とは物のことであり、たとえば建物の壁などもその対象です。
たとえば水道管の交換や修理を行うときには、まず元栓を閉めてから作業を行います。しかしすべての配水を止めることはできないこともあるため、作業においては十分に注意して行わなければなりません。
どれほど注意していたとしても、配管そのものが劣化していたため交換の際に折れてしまい、水漏れを起こし階下の住民に被害を及ぼしてしまう可能性もあります。
その場合、賠償責任保険などでカバーできたとしても、配管自体は破損させた本人が責任を負うことになってしまいます。
このような場合、管理下財物に対する保険に加入していれば、損害を補填できます。
すべてのものを管理下財物にできるわけではなく、
・工事以外の目的で使用する財物
・工事遂行のため他人から支給された資材・工事用仮設物の材料を含む設置工事の目的物
・貨幣・紙幣・有価証券・印紙・切手・証書・宝石・貴金属・美術品・骨董品・勲章・記章・稿本・設計書・雛形・これらに類するもの
・リース契約やレンタル契約・その他賃貸借契約に基づいて他人から借りている財物(仮設施設を除く)
・被保険者が保管施設で保管するため預かっている財物
などは管理下財物には含まれません。
使用頻度がそれほど高くない重機などの場合、リースや元請け会社から借りる場合もあるでしょう。
借りているものを万一壊してしまったときや盗難に遭ったとき、賠償請求されても負担が厳しいという場合もあります。
十分な資金力があれば賠償できても、突然発生した損害に対し補填できるとは限りませんので、リスクに対する備えは十分にしておくようにしましょう。