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建設工事で預かった受託物を破損したときに備えるために

2021.07.22
分類:リスク

建設工事で必要な建設資材などの受託物を、施設内で保管しているときに火災が発生し、保管施設の消失と同時に受託物も損壊してしまったら…。

このような場合に備えて、建設工事を行うときには「受託者賠償責任保険」に加入しておく業者も少なくありません。

そこで、具体的に「受託者賠償責任保険」で何に備えることができるのかご説明します。

補償されるときはどのようなときか

「受託者賠償責任保険」とは、他人から預かった受託物を保管・管理しているときに、誤って壊したときや汚したとき、紛失や盗難などで元の状態では返還できなくなったときに備える保険です。

受託物について正当な権利を有する方に対して法律上の損害賠償責任を負担することになったとき、その損害に対し保険金が支払われます。

 

受託者賠償責任保険の特徴

受託者賠償責任保険に加入しておくと、

・火災で保管施設が焼失し施設内で保管していた建築資材の受託物が損壊したとき

・発注主から預かった荷物をコンテナに入れ、フォークリフトで移動中にコンテナが落下し荷物が破損したとき

・夜間に事務所に泥棒が侵入したことで、預かっていたパソコンが盗難被害に遭ったとき

などです。

基本的な補償は、保管中の破損・汚損・紛失・盗難などによる損害ですが、それ以外の補償は特約で備えることもできます。

たとえば受託者賠償責任保険の特約として、

・漏水による損害を補償する特約(水道管・消火栓・火災などで作動するスプリンクラーなどからの水漏れ)

・運送中の損害を補償する特約(トラックなどで荷物を運送中に荷物を破損してしまった)

・修理や加工の損害を補償する特約(預かった商品を修理中や加工中に壊してしまった)

といったものがあります。

他人の物品を保管・管理することを業務とする方が保険の対象となるため、

・発注主・元請け業者・顧客からの預かり物をする経営者

・荷物を預かる方

・展示会場の主催者(他人の物品である展示品を保管・管理するなど)

などが対象者として挙げられます。

土地・動植物・自動車(原動機付自転車を含む)などは対象外となるため、整備工場や駐車場の経営者や自動車の受託・管理業などの方は「自動車管理者賠償責任保険」の加入を検討することが必要です。

一度事故が発生すれば、賠償責任を負うことはもちろんのこと、再発防止対策に費用がかかることも考えられますので、万一の事故に対する備えとして受託者賠償責任保険を検討することも必要といえるでしょう。