建設工事業情報ラボConstruction Business Information Lab

建設業者が行う工事へのクレームで多いのは工事現場から発する振動?

2021.12.05
分類:リスク

建設工事現場で行う工事では、建設機械などの使用と土質の条件などによって、周辺に振動が伝わりやすい状態と作ってしまいます。

工事による振動対策が必要となりますが、一般的な騒音対策よりも技術面で困難となることもあるため、近隣に住む方たちからクレームが出る場合も少なくありません。

単なる揺れが不快感として伝わるのではなく、恐怖心をあおることもあるため、工事を行う前に振動対策を行っておくようにしましょう。

考えられる振動対策とは

工事による振動に絡む苦情は多く、最近では建設工事の中でも解体工事に伴う振動や騒音に対し、クレームが多くなっているといえます。

建設重機の使用が増え、住宅密集地など狭い現場でも使われるようになったことが原因と考えられますが、多様な建設機械が開発されているため建設作業がどのような作業で法令の規制対象なのかわかりにくいケースも少なくありません。

振動規制は基本的に、事前規制と事後規制が採用されていますが、このうち事前規制は振動を発生しやすい作業を事前に市町村長へ届出しておき、必要によって規制内容を確認したり相談したりすることです。

基本的に届出は元請負人が行いますが、発注者も責任を負うことにかわりないため、工事を担当する元請負人は発注者に迷惑がかからないように届け出ておくようにしましょう。

もう一方の事後規制は、敷地境界線などの振動の大きさを規制基準値以下に抑えることを意味します。

市町村長は必要によって振動測定を行い、規制基準を遵守するように求めますが、規制基準を超えたことでその周辺の生活環境が損なうことがあったときには改善勧告・改善命令・罰則を適用という流れとなります。

なお、建設作業振動の規制基準は次のとおりです。

・敷地境界線で 75 デシベルを超えるものでないこと

・除外の場合を除き、第1号地域(静穏・住宅地域など)は19時から翌7時、第2号地域(第1号地域以外)は22時から翌6時までに発生するものでないこと

・除外の場合を除き、第1号地域では110時間を超えない、第2号地域では114時間を超えないこと

・除外の場合を除き連続して6日を超えないこと

・除外の場合を除き、日曜日その他休日でないこと

 

近隣住民に事前に説明しコミュニケーションを円滑にしておく

大きな振動が発生してしまう可能性が高い工事については、事前に近隣住民へ説明を行うなど、日常からコミュニケーションが取れる関係を築いておいたほうがよいといえます。

苦情ではなく相談という形で伝えてもらうことができるように、説明会や工事見学会を開催し、建設機械に試乗できる体験会などのイベントを開催したりなど、工事現場をオープンにするといった工夫も必要です。