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工事の無事故記録を「無災害記録」として記録証を交付する制度とは

2022.02.13
分類:リスク

業務上の災害発生の翌日から、次の業務上災害が発生した日の前日までの期間、災害がなかった場合には「無災害」として記録とされます。

災害とは、業務上の死亡災害・休業災害・身体障害等級表に載っている身体障害を伴ったことにより労災申請を行ったケースが該当します。

無災害記録の日数は、業種や労働者数により異なりますが、一定の無災害記録に記録証を交付してもらうには申請が必要です。

「無災害記録証」の授与対象となる業種は?

「無災害記録証」とは、厚生労働省が一定期間、労働災害を発生させなかった事業場に対し交付する記録証のことです。

「無災害記録証授与内規」に基づいて事業場から申請を受け、都道府県労働局長の推薦によって厚生労働省労働基準局長名により授与されます。

 

「無災害記録」の時間数はどのように計算する?

無災害記録は第1種無災害記録から第5種無災害記録まで5つの段階があり、第1種無災害記録の時間数は当該記録を起算した年月に応じて別表第1から別表第5まで定めがあります。

建設店社に対する第1種無災害記録の時間数の適用は、

・年間完成工事高250億円以上の建設店社は別表第2に掲げる時間数を適用すること。

・年間完成工事高250億円未満の建設店社に対しては、別表第2に掲げる時間数の2分の1を適用すること。

・上記の年間完成工事高は、無災害記録達成日における直近の決算時の年間完成工事高とすること。

となっています。

 

無災害の労働時間数算定の留意点

無災害の労働時間数の算定については次に留意しておくようにしましょう。

・災害として扱われるものは業務上の災害であり、出張等で一般公衆の用に供せられる交通機関を利用中に発生したものを除くこと。

・災害として扱われるものは、死亡災害、休業災害、労働基準法施行規則別表第2身体障害者等級に掲げる身体障害を伴うもの、であること。

・記録の起点は「直近の災害が発生した日の翌日」であり、記録の終点は「次の災害が発生した日の前日」とすること。

・記録の計算は、雇用の形態にかかわらず「その事業場に属するすべての労働者」を対象として行うこと。

 

無災害記録証の申請方法

無災害の労働時間数が第1種から第5種までの基準に達したときは、

・無災害記録証授与申請書

・無災害記録樹立事業場調査表

・確認書

を作成し、所轄の労働基準監督署経由で都道府県労働局長に申請を行いましょう。

申請後、労働基準監督署長と都道府県労働局長の審査を経て、厚生労働省労働基準局長から「無災害記録証」が授与されます。

無災害記録の時間数の算出にミスなどがあり、規定の時間数に達しないことが判明した場合には、一旦、無災害記録証を授与していた場合でも返還しなければならなくなるため注意しましょう。