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工事現場のフェンス倒壊や足場倒壊の責任は誰にあるのかを解説

2022.02.19
分類:リスク

工事現場の足場倒壊やフェンス倒壊などの事故が起きてしまったときには、過失の有無などによって責任の所在が変わり、たとえば過失が認められれば工事業者に責任があると判断されます。

そのため現場で事故が起きないように、規則に沿った作業と天災などリスク予見に努めることが必要です。

どのような工事現場でも事故リスクはゼロにはできないといえますが、作業員自身の事故の責任は当事者だけでなく、現場監督や企業にもかせられます。

そこで、具体的にどのようなときに誰が事故の責任を負うことになるのか、工事現場の足場の倒壊事故について説明していきます。

故意や過失により倒壊したケース

工事現場の足場がしっかりと固定されていなかった場合や、強風被害を防ぐことを目的とする養生・対策がされていなかったときに事故が起きれば、工事業者の過失とみなされることになります。

民法上での建設工事現場の事故は、第三者に損害を与えたときには工事業者が責任を負います。

そのため足場が倒壊したときにも、設計・施工・監理のいずれかに過失があることが多いため、適切な設置が必要となるでしょう。

公共工事などの現場で、複数の業者が関係していればそれぞれが責任を負うことになり、さらに雇用契約か請負契約によって責任の所在も変わってきます。

発注者は原則責任を負わないのか

原則、工事の発注者は損害賠償責任を負うことはありませんが、無理な注文をした場合はその限りではありません。

建設工事の知識を持たない場合であれば過失が認定されにくいため、たとえば打ち合わせの段階で工事業者が無理な注文と気がつき、工程を修正することもできるでしょう。

発注者が素人であれば、修正をしなかった工事業者に責任があるとされるため、過失がないと判断されます。

しかし発注者が工事の知識を持ったプロであれば、損害賠償責任があると判断されやすくなるため注意してください。

 

強風により倒壊したケース

強風により足場が倒壊し、隣家の駐車場に停まっていた車に傷をつけたとしましょう。

この場合、工事業者に損害分を賠償する責任が発生するため、現場監督・作業員の過失として扱われます。

天災により倒壊したケース

強風も天災ですが、それ以外にも竜巻・突風・大雨などで足場が倒壊した場合には、不可抗力の損害として扱われます。

ただし台風や大雨などはある程度予見がつくため、工事業者の責任とされると留意しておきましょう。

予見のつく天災のときには、たとえばしっかりと養生し倒壊しないようにするなど、対策が必要です。