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建設工事の現場監督のうち6人に1人は過労ラインを超えている?

2022.04.07
分類:リスク

働きすぎといえる過労が続けば、

心筋梗塞

脳出血

クモ膜下出血

などの脳・神経疾患を発症しやすくなり、最悪の場合には過労死してしまう可能性があります。

さらにストレス性の神経症やうつ病など、精神疾患によって過労自殺してしまうケースも見られるため、建設業界でも注意が必要です。

建設業界の場合、内勤よりも工事現場で働く現場監督・技術者・技能労働者のほうが労災事案は多く発生しています。

工事現場で働く現場監督の6人に1人は過労死ラインを超えているといわれていますが、過労死してしまう建設従事者を増やさないためにも、その実情について解説していきます。

建設工事現場での過労死

建設業で疾患になるケースを見ると、工事現場関係では精神障害がやや多く、事務などデスクワークでは脳・心臓疾患がやや多い傾向となっています。

このうち、過労死に直結しやすい脳・心臓疾患が多く見られる年齢層は50代で、特に責任のある立場の現場監督などは、体力が低下してしまうことも関係し発症しやすくなるようです。

さらに60代になると、仕事の内容が変わってくることから、現場監督などの罹患件数は低下します。

ただ、現場で引き続き働いている技能労働者は、60代で労災が多発するといった傾向が見られるようです。

労災として認定された要因ごとに見た場合には、長時間に渡る加重業務が原因となり、過労が大きく関係していると判断できるできるでしょう。

長時間労働になる原因

建設業が長時間労働になりやすい原因として、業務量は多いのに人員が不足しているなど、1人に与えられる仕事量が超過していることが関係します。

特に現場監督などは事務書類が多く、監督としての業務以外で所定外労働をするしかない状態といえます。

前行程の遅れやトラブルなど労働者の不手際が原因というよりも、人で不足という労働者にはどうにもならない問題が所定外労働を発生させています。

 

「過労死等防止対策白書」から見る現場監督の過労死ライン超過

政府がまとめた「2019年版 過労死等防止対策白書」によると、特に労働時間が長かったのは建設業の現場監督でした。

6人に1人は週60時間以上働いており、月換算すると労災認定の目安である「過労死ライン」の残業80時間を超過するほどの水準です。

政府は「過労死等防止対策大綱」で、長時間労働など特別調査をする業種として、建設業も対象としています。

建設業に対する調査結果

建設業の約1割が労働時間週60時間以上であり、職種別でみると現場監督が16.2%、施工管理や設計士など技術者は7.1%、現場作業を行う技能労働者は3.5%でした。

現場監督の労働時間が長時間に及ぶ理由として、

業務量が多い(64.1%

事務書類が多い(49.3%

人員不足(47.7%

顧客からの不規則な要望(44.2%

などが挙げられています。