1960年代後半から高層ビルの建設ラッシュが始まったすでに50年以上経過しているため、従来までの建築物では耐震性に不安があること、さらに建物そのものや設備の老朽化も進み、IT化に対応したいという理由で建替工事を始めるビルも増えています。
ビルを建て替えるためには先に建築物を解体しなければなりませんが、都心部の高層ビルなどはどのように解体工事を行うのでしょう。
解体工事を行おうとする建物の種類はアパートやマンション、工場、高層ビルなど種類は様々であり、さらに解体しやすい場所や環境にあるとは限りません。
たとえば重機が入れないほど道が狭かったり、道路使用許可を得ることができなかったり、隣接している建物との距離があまりにも狭いなど、解体工事を行う業者にとって作業しにくい現場も少なくありません。
特に都心部の高層ビルなどは、周辺にもビルなどの建物が密集しているところが多いとえいます。解体工事を行おうとすれば、騒音、粉塵などの心配もある上に、重機の使いにも注意が必要です。
建物の解体技術や工法はいろいろありますが、高層ビルなどの解体は特殊解体工法が用いられることが多いといえます。
基本的な解体技術に加え、ビルの高さやその他の条件などで次のような特殊解体工法を採用することが必要です。
大型クレーンなどで重機を階上に引き上げ、階上から階下という順に解体していく工法です。壁の転倒や落下、ガラの飛散などの防止策を講じることも大切ですし、床が崩壊しないように下の階の天井と床部分をしっかり補強してから行うことが必要といえます。
地上に超大型の重機を設置し圧砕作業を行う解体工法です。
アーム部分に取り付けられたカメラで圧砕作業をモニタリングしながら進めることが可能となっています。
タワークレーンを設置し、上の階からブロック単位に順番に切断しながら吊り降ろす工法です。
下の階から解体する工法で、下の階から少しずつ低くなって行くだるま落としのような解体方法です。
建物上部に天井クレーンなどを設置し、移動可能な閉鎖型解体設備を作る方法です。解体設備の中でその階の解体作業を実施し、解体設備と共に下階に移動する形となります。
大きなビルの解体にはいろいろな工法があるので、建物形状や立地条件、コストなどを考え最適な解体工法を採用することが求められます。