耐火被覆とは、鉄骨造の骨組みを火災が発生したときの熱から守るため、耐火性や断熱性の高い材料で梁・柱を被覆することです。建築基準法上、鉄骨造は一定基準の耐火被覆を行うことにより耐火構造とみなされます。
建築基準法施行令第107条が改正されたことによって、建築物の階数や主要構造部に対して要求される耐火性能が定められました。
該当する耐火構造は国土交通大臣が指定することとなり、高層建築物が成立する要件は支持基盤、そして地震・火災対策が主となっています。
建物を保持する鉄骨を火災で崩壊してしまうことから守ることを耐火被覆工事といい、耐火構造と認められるためにも重要な技術といえるでしょう。
鉄骨造の建物に火災が発生すると、火災が鎮火するまで建物が倒壊してしまわないように、建物そのものを熱から守らなければなりません。
火災発生のときの人命の保護や建築物の安全確保に大きな役割を担うこととなるのが耐火被膜ですが、建築基準法第107条では技術的基準として次のような規定がされています。
通常のかさによる火熱が加えられた場合、構造耐力上、変形、溶融、破壊、その他損傷を生じないこと
壁および床に通常の火災による火熱が加えられたとき、加熱面以外の屋内の面の温度が可燃物燃焼のおそれのある温度以上に上昇しないこと
外壁および屋根に屋内で発生する通常の火災による火熱が加えられたとき、屋外に火災を出す原因となる亀裂や損傷を生じさせないこと
具体的に耐火被覆工事には、耐火材吹付や耐火板、耐火塗料などが用いられますが、さらに次の用な工法が用いられています。
工場で事前に混合したロックウールとセメントを、現場で水と一緒にモルタルミキサーなどで作り上げ油圧ポンプで圧送します。さらに専用のガン先エアで均一に下地へ吹付けていく工法です。
ロックウールをブローで空気圧送しますが、別途セメントをスラリー化しポンプ圧送します。そして専用ガン先でこれらを混合一体化させながら、均一に下地へ吹き付けていく工法です。
高耐熱ロックウール・不織布の耐火被覆材を鉄骨に巻き付けて、ピンでとめていく工法です。材料の飛散がないため他業種との同時作業が可能となる特徴があります。
繊維入りけい酸カルシウムの耐火被覆板を使った工法で、柱断面を小さくすることだけでなく、施工上も下地と仕上げ作業を同時に行うことができる点でメリットです。