建設工事で活躍する大手ゼネコンと呼ばれる日本企業は複数ありますが、その中でも江戸・天保に創業し、2019年で180年を迎えた鹿島建設の歴史の長さに注目してみましょう。
日本では鹿島建設は大手ゼネコンと認識されていますが、日本企業の中でも1964年に海外進出へと最も早く取り組み、アメリカで建設・開発事業をおもに手懸けている企業です。
米国本拠はニュージャージーにありましたが、2010年にはアトランタに移し、現在も躍進し続けています。
業務の約7割はクライアントからのリピート発注による依頼ということからわかるように、高い評価を受けている企業でもあります。
鹿島グループは、アメリカ駐在経験のある社員が他国に赴任して幹部職に就くということが多く見られます。アメリカで事業展開だけでなくマネジメントスキルを身につけるなど、人材育成における大きな役割を担う存在でもあるからです。
鹿島建設の拠点はアメリカ以外にも、アジアやヨーロッパ、オーストラリアに設けられています。
ヘッドクォーターがアトランタに移転されたのは、仕事の案件数や量がジョージア州周辺で最も多かったことなどが主な理由のようです。それに加え2000年代に買収した複数の会社の拠点がアメリカ南東部だったことも関係しています。
地理的にみて、グループ会社同士のコミュニケーションにも優れたエリアだったということになるでしょう。
アマゾンの影響により、Eコマースが注目されている状況が続いています。倉庫建設事業にもよい影響を与えているようですが、全米の小売の売上高からみれば全体1割超程度という状況のようです。
Eコマース事業については、ビッグボックスという100万平方フィート級の巨大な倉庫に、住宅のすぐ近くにあるラスト1マイルという配送直前の倉庫など、どちらもまだまだ伸びていくことが見通されています。
それに加えてヤングエグゼクティブやシングル、子どものいないカップルなどが適齢期に家を購入する傾向にも注目しているようです。
古い常識にとらわれることなく、自分たちが価値を感じたものに対してお金を使うことに注目し、そのニーズに対応できるように様々な検討がされています。
鹿島建設にはアメリカでの建築士や設備のエンジニアのライセンスを保有する日本人もいるため、日本語でやり取りを行いながら仕事や対応が効率的にできる環境を整備しています。
日本は土地が狭いので、縦に建物を建てていかなければなりませんが、アメリカは土地が安く広いので、平屋で建設しコストを効率化させることを可能とする点にも注目しているようです。