新型コロナウイルスの社会的な影響は、かつての大恐慌の再来ほどの大きな打撃といわれています。
建設業界でもその影響により、一時工事が停止するといったこともありました。
大手ゼネコンも新型コロナの影響により営業活動がほとんどできず、需要を摑むことができていないという点に危機を感じているようですし、先行きが見通せないことで業績予想にも影響しています。
しかし、建設業界の新型コロナの打撃は他業界よりは小さいのは、すでに工事を受注しこれから着手する手持ち工事の売上が全体の8割を占めているからといえるでしょう。
実際に営業を行って新たに獲得する分の売上は1~2割程度であるなど、大恐慌の再来にも負けないのが建設業界のメリットです。
売上減少はそれほど起きずに、新型コロナによる業績への影響も限定的だと考えられています。
しかし長期的な視点でみたときには、今期に新規で受注する案件が減少することにより、来期以降の売上は大きく傾くこととなるでしょう。
受注できる環境にない状態が続けば価格競争も起き、1~2年後の採算は落ちることになってしまいます。
これが建設業界ではなく、他の業界なら今期業績が低迷しても来期以降に一気に巻き返せると考えることができても、建設業界はこの考えはできません。
ただ、長期的な視点で見ても大恐慌やリーマンショックのときのような影響を受ける可能性は低いと考えられます。
その理由は、今は高度経済成長期に建設された建築物やインフラの更新や整備を行う時期であることが関係しており、受注案件として見込むことができる工事があることが救いになっているといえるでしょう。
さらに2022年以降になると、大阪万博・総合型リゾート(IR)・洋上風力発電といった大きな案件着工も見込まれており、中でも総合型リゾートの建設需要は東京オリンピック以上に期待が持てます。
景気の動向次第で新たな受注が増えるか変わってきますし、2021年開催予定である東京オリンピックが万一中止ということになった場合には、景気が2年程度は最低でも後退してしまうと予測されます。そうなると民間設備投資は落ち込み、建設業界にも影響を及ぼすこととなるでしょう。
しかしすぐに大きな落ち込みを見せることはないため、受注環境がどのくらい悪い方向へ動いてしまうか様々な情報を入手しながら、様子を見ることが必要です。