新型コロナウイルス感染症が拡大し、建設業の工事や雇用環境にも様々な影響を及ぼすこととなりました。
景気も後退したといわれる状況ですが、建設業の業況は他産業によりはその影響が少なく、新規求人の落込み幅をみてもすべての産業の中で最小だったことがわかっています。
日本銀行では四半期ごとに企業短期経済観測調査を実施していますが、2020年3月と2020年6月の調査をみたとき、産業分野別の業況判断指数では製造業はマイナス34ポイント、宿泊・飲食サービス業はマイナス91ポイント、しかし建設業は6月単体ではプラス15ポイントと増加を維持しています。
情報サービス業もプラス20ポイントでしたが、これに次ぐ好調な業況であるといえるでしょう。
ハローワークでの新規求人数をみた場合も、2020年5月の建設業の新規求人は前年同月比11.3%減であり、産業分野全体の中で最も減少率を抑えることができていたようです。
建設業界は新型コロナウイルスの悪影響を受けていても、人材需要が変わらない堅調なことを示しているといえるでしょう。
新規求人数の前年同月比増減率について、職種別で確認すると減少率が最も低かったのも建設技能工です。続いて減少率が低い業種も、建設技術者となっており、やはり人材需要は景気に左右されないことをあらわしています。
減少率が高かったのは事務職・生産工程の職業・販売業などで50%以上という大幅に減っています。
新型コロナウイルス感染症が拡大したことで、雇用環境に大きな影響を受けたのは宿泊・飲食サービス業・生活関連サービス業・娯楽業、そして製造業といえます。
建設業は他の業界と比べれば、多少影響はあったものの比較的軽微であったといえるでしょう。
感染症拡大は建設業の業況にマイナスの影響を与えることがなく、AIなど導入されたとしても建設技能工や建設技術者は省人化させる余地が比較的少なめであることも関係していると考えられます。
今後、新型コロナウイルスがいつ収束するのかはっきりはわかりません。コロナ禍の状況がいつまで続くかによって左右されるものの、九州地方や中部地方など中心とした令和2年7月の豪雨災害復興需要に対応することも必要とされています。
建設業の人材需要はまだまだ堅調に推移することが予測されるといえるでしょう。