建設・土木工事を行う業界では慢性的な労働力不足状態ですが、建設技能労働者数はもともと1997年には464万人いました。しかし今は330万人ほどで、その技能者の3分の1ほどは高齢化などを理由としてリタイアしていくことが見込まれます。
このままでは建設業界に未来はないと、業界を担う若い人材を獲得しなければならない状況にきているといえます。
建設需要は横ばいに推移すると考えられていますが、2025年には約130万人の労働力不足になることが予想されており、どのように確保するべきか考えなければなりません。
不足すると考えられている130万人の労働力を、どうやって埋めていけばよいのか考えたとき、建設業への新規入職者を増やすことが必要です。しかし募集をかけても求職者は集まらなければ、人を雇用したくてもできません。
そのため国は、生産性向上に向けた省力化など、ICTを全面的に現場で活用することなど検討している状況です。
具体的には建設生産システム全体の生産性向上を図るため、i-Construction(アイ・コンストラクション)というビジョンを提示しています。
ただ建設会社の9割以上は中小事業者であり、大手や中堅建設会社であれば導入可能な対策であったとしても、中小事業者には難しいとも考えられています。
ロボットが工事現場で縦横無尽に動き回るような未来も、だんだんと現実味を帯びてきたといえます。
実際、大手建設会社などを中心として建設ロボットの開発を行い、競争も激化しています。
ロボットの性能はかなり向上しているといわれていますが、開発・普及に力を入れている理由は人手不足問題解消だけが目的ではないようです。
ロボット開発に乗り出す大企業が見据えているのは、国土交通省が目標としている建設現場の生産性20%向上の期限である2025年です。
実際、ロボット開発の競争激化は日本だけでなく、世界でも次々にスタートアップ企業が登場して市場を牽引していることが、さらに性能向上を高めている理由といえます。
開発が進むに伴い新たな技術が搭載されるなど、どんどん進化するロボットを活用する時代はもうすぐそこまできているともいえます。
ただ資金力の弱い中小の建設会社でも建設ロボットを導入できるのか、さらにうまく活用できるかがカギとなるでしょう。