建設工事業情報ラボConstruction Business Information Lab

建設工事で経験を積んだゼネコン社員が公務員に?人が流出する理由とは

2021.03.13
分類:その他

最近では、ゼネコンから離職し公務員となる入社数年の若手社員や30代の中堅社員が多くいるようです。

実際に複数の工事現場で経験を積んで専門資格も取得し、やっと工事現場で責任者として重要業務を任せてもらえるようになったものの、自治体などに行き公務員として働くのはゼネコンにとっても大きな痛手でしょう。

なぜゼネコンから公務員に移ってしまう?

ゼネコンから公務員になる社員は、転勤や勤務地などを問題視していることが多いようです。

ゼネコンの建築部門はビルやマンションの工事現場を中心として、12年をサイクルに勤務地が変わります。

その一方で、トンネルやダムなど土木部門は工期が長めではあるものの、公共交通機関などもない不便なエリアが多く、いずれにしても単身赴任しなければならない状態です。

 

新入社員は働きにくい職場?

土木職のうち、女性が離職することが多いのは、事務所が山奥などに設置されていて家庭と仕事の両立が難しくなることなどが理由のようです。

子どもを保育所や学校などに通うことも考えれば、勤務地もほとんど変わることなく続けて通わせることができる自治体を選び退職することが多くなってしまいます。

さらに建設投資が現在の倍近くあった2030年前までは、新入社員が複数人同じ現場に配属されることも多かったようですが、現在は50代の先輩社員と所長のみの事務所に新人が1人で配属というケースも多いようです。

新人ならではなく悩みを気軽に相談したり打ち明けたりできない状況に耐えられず、辞めてしまうといったこともあるとされています。

 

公務員へ人が流出しない取り組み

技術系社員の育成と定着は建設業界全体で大きな課題となっていますが、準大手ゼネコンなどはすでに対策を行っているようです。

入社後すぐに全国の現場へと配属するのではなく、基礎をしっかりと指導・教育してから配属するといったことが行われています。

実際に工事現場に配属されると、職人が目上の方でも危険な作業に注意しなければなりません。そのためどのような作業に危険が伴うのか現場感覚なども磨いていくようです。

さらにトレーナー制度なども設け、新入社員それぞれに年の近い先輩社員が1年間に渡りトレーナーとして付き、相談や指導するという取り組みとなっています。

トレーナーとして指導する社員に対して手当を支給するなど、社員全体のモチベーションが下がらない取り組みもおこなっているようです。

現場で若手が1人になれば退職してしまう可能性もあるため、新入社員は2人ずつ配属し、残業も、一定時間を超える社員がいる現場は確認して本社が指導するといった改善も必要となるでしょう。

工事発注やインフラの維持や管理をメインとする行政や自治体に対し、ゼネコンはダムやビルなどものづくりを行う立場となります。

役割と業務が大きく異なるため、公務員として働く人材が増えゼネコンからの流出がさらに増えれば、施工を担うゼネコンの技術力が低下するとも考えられます。