建物の建設工事において、天井について深く考える機会はそれほどないかもしれません。
しかし実際には、天井にはいろいろな構造があり、その種類は多種多様です。
そこで、建設業に携わる上での基礎知識として、天井の構造の種類とそれぞれの特徴についてご説明します。
天井の構造を大きく分けると、「直天井」と「吊り天井」の2種類になります。
直天井は、屋根裏や上階の床裏に該当する部分に直接天井材を取り付ける構造となっています。
天井の高さを確保でき、一部の建物では工事費を抑えることができることや、耐震性が高いことがメリットです。
ただし天井裏スペースがないと防音材を仕込むことができず、防音性が下げ設備のメンテナンス性を低下させます。また、デザイン性も限られることはデメリットといえるでしょう。
もう一方の吊り天井は、屋根裏に該当する部分から金属ボルトなどで格子状の枠組みを吊り下げ、表面に石膏など天井ボードを取り付けた構造のことです。
天井裏が空間となるため、照明・空調・水回りといった設備のスペースを確保できることがメリットであり、メンテナンス性や機能性にも優れています。
体育館などの大型施設のほとんどがこの吊り天井ですが、安全性には懸念が残ることもあるのがデメリットとなっています。
天井の構造をさらに細かく分けていくと、主に次の8種類となります。
和風建築に用いられる天井の構造で、縁を格子状に縦横の組み合わせで正方形にしていきます。
仏堂などに用いられる構造であり、天井を支える支輪を湾曲させ、さらに一段高くした部分に格天井を構成することが特徴です。
屋根の梁上の左右に支材を組み合わせ、天井板を野縁とさお縁で十字に挟んで取り付けていく構造となっています。。
さお縁天井よりさらに厚さのある板が使用される天井です。
野縁とそれを支える野縁受けを、格子状に組み合わせ平面にし、天井ボードを貼り付けクロスを貼り仕上げます。
吸音・断熱・防火などの性能が優れている不燃材を岩綿吸音板といいますが、この岩綿吸音板を使った天井です。ボード張り天井と同じく、格子を構成してロックウールの天井ボードを貼り付け仕上げます。
天井裏に、照明・配管・空調などの機能を持たせメンテナンス性を高めた構造となっています。
博物館や美術館で採用されることが多く、ガラスなどの透光性のある素材を天井面に覆い、意匠性を高くした天井であることが特徴で、明るさを保つことができます。