豪雨などで想定していなかったほどの量の雨が降ったときには、家屋の浸水被害が起きることもありますし、土石流や土砂崩れといった被害が発生することもあります。
そのとき、建設業では復旧作業を急ピッチで進めていくこととなりますが、災害復旧は緊急性を要し通常の工事とは異なります。
通常の工事なら時間をかけて計画を立てていきますが、復旧作業は即着手し完成させることが必要となるため、計画・調査・調整に十分な時間をかけることができません。
大雨による土砂崩れや山崩れが発生し、道路が寸断しているときや路肩が崩壊しているときなどでも、車両の通行が可能となるような復旧作業が必要です。
また、水道・電気・ガス・下水など、インフラが停止しているときには使用可能な状態にしなければなりません。
家屋や道路に溜まった土砂を運び出し、日常生活を取り戻すために猶予もなく作業に取り掛かることが必要です。
インフラ復旧は早ければ即日、遅くても2~3週間には、ひとまず使用可能となる状態にすることが求められるため、本格的な復旧は仮復旧後に改めて設計しなおし工事するという流れになるでしょう。
災害は突然やってくるものであり、被災した場所は迅速に、そして確実に復旧させることが必要となります。
被災したときの復旧には設計図や予算もない状態ですが、被災から復旧完了まで一般的にどのような流れとなるのかは次のとおりです。
災害がおきた場所や箇所を確認し、災害報告をして道路などに流出した土砂を撤去し、交通の確保や被害の拡大を防ぐ応急工事を行います。
国に復旧工事にかかる予算を要求する上での現地調査と設計図書の作成を行います。
現地調査では、被害規模や被災原因の調査を行い、どのような復旧工法にするか決めていきます。
復旧工法が決定すると、設計図書を作成し復旧費用の算出を行って災害査定を受けます。
国土交通省の査定官や財務省の立会官が災害現場で災害査定を行い、査定が終わると正式に復旧工法と復旧費用が決まることになります。
災害査定後に復旧工事と復旧費用が確定すると、そこから約2週間か1か月後に予算が配当されることになります。
予算配当後に復旧工事の発注の準備に入り、入札・契約手続きを経たのちに施工業者が決定される流れです。
契約した施工業者は、設計図書に基づき工事期間内に最小の費用と安全施工のための施工計画書を作成して現場に入ります。
復旧工事が完了するまでは、小規模でも着工から約1か月、規模が大きいと1年以上かかることもあります。