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バイオマス発電所建設を巡る住民説明会未開催が問題に?その内容とは

2021.08.02
分類:その他

宮城県登米市東和町では、バイオマス発電事業を企画する東京都の都市開発研究所が、登米市内の別の場所と角田市でバイオマス発電所建設を計画していることが確認されています。

国のガイドラインは事業計画初期段階で関係自治体に対し情報提供するなど、地元の理解を重要視していますが、実際にはどの建設予定地でも住民向け説明会は開催されていないことが問題となっているようです。

発電所建設を巡る住民とのトラブルの内容

資源エネルギー庁によると、都市開発研究所が出したバイオマス発電の事業計画の申請は20206月に認定済のようです。

そして登米市住宅都市整備課によれば、202011月と2021年2月に事業者側から発電所建設に関する相談があり、5月には見取り図など手渡されたものの排水や臭気などについて説明はなかったとされています。

建設予定地の男性区長も計画をまったく把握しておらず、説明を求めているようです。

都市開発研究所側は、計画がまだ具体的に動いていないため、固まった段階で地域住民への説明を行いたいとしています。

 

そもそもバイオマス発電所とはどのような仕組み?

今回問題となった発電所の基盤となる「バイオマス」とは、動植物など生物から作り出される有機性のエネルギー資源のことで、化石燃料を除くものの総称です。

エネルギー源を燃焼または一旦ガス化し燃焼し、発電する仕組みが「バイオマス発電」で、燃料を燃焼することでタービンを回し発電します。

バイオマス発電は燃やす燃料と燃焼方法により次の3種類に分けることができます。

・直接燃焼方式…バイオマス燃料を直接燃焼し蒸気タービンを回す方式

・熱分解ガス化方式…燃料を熱処理することでガス化しガスタービンを使い燃焼させ発電する方式

・生物化学的ガス化方式…燃料を発酵させるなど、生物化学的にガスを発生させガスタービンで燃焼させ発電する方式

直接燃焼方式では、木くず・間伐材・可燃性ごみ・精製した廃油などが燃料となります。

熱分解ガス化方式も木くず・間伐材・可燃性ゴミなどが燃料として使われますが、直接燃焼させず加熱することで発生させたガスでガスタービンを回します。

生物化学的ガス化方式は、家畜の糞尿・生ごみ・下水汚泥などを発酵させ、メタンなどのバイオガスを発生させることでガスタービンを回し発電を行います。

本来、燃料を燃やせばCO2を発生させることとなり、環境への悪影響が懸念されるところでしょう。

しかしバイオマス発電は「カーボンニュートラル」という考え方で、燃焼を行っても大気中のCO2増加につながらない発電方法となっています。

化石燃料と異なり再生可能なエネルギー源を用いることも大きな特徴です。