建設企業の中でも、スーパーゼネコンと呼ばれる大手企業はすべて創業100年を超えており、日本国内だけでなく海外事業も手掛けている大型の建築土木工事請負会社です。
頂点に位置するのが、鹿島建設・清水建設・大成建設・大林組・竹中建設の5社で、上場スーパーゼネコン4社、そして唯一未上場の竹中工務店を頂点としすそ野が広がっています。
売上高も年間1兆1~4億円というほぼ横並びであるとされていました。
しかし新型コロナウイルス感染拡大の影響により、上場スーパーゼネコンの業績には大きな陰りが見えるようになっています。
東京商工リサーチが発表した鹿島建設・大林組・大成建設・清水建設の2021年3月期の売上高合計は10年ぶりの減収であり、2022年3月期も4社そろって当期利益は減益予想としているようです。
4社の2021年3月期連結決算の売上高合計は6兆6,104億円で、前期比12.2%減と大幅に減少しています。
これは2011年同期から10年ぶりの減収であり、工事の採算低下や新型コロナウイルス感染症による工事中断などが影響したことで、当期利益合計は前期比16.1%減の3,668億円となっていました。
2022年3月期の売上高も2021年同期比で25.7%減の2,725億円とさらに落ち込むことが見通されており、国内建築事業は新型コロナの影響で投資意欲が減退し、それによる競争激化で採算が悪化することが見込まれています。
スーパーゼネコンの利益が低下したことは下請けの建設業にも大きな痛手となり、倒産してしまう企業が増えることが懸念されるといえるでしょう。
スーパーゼネコンといわれる大手企業は、そもそも東日本大震災から長い間、好調な市況が続いていました。
2020年度の建設業の倒産も過去30年で最少の1,117件にとどまっており、新型コロナウイルス感染拡大の影響は受けていても、コロナ関連の支援などの効果により倒産が抑制されたと考えられます。
しかし支援策もすでに息切れ状態となっており、新型コロナの影響を受けた建設業がコロナ破たんしてしまうケースが増加傾向にあります。
建設業のコロナ倒産は飲食業に次いで多く、工期延長や需要減で体力が疲弊してしまった小・零細企業の淘汰が始まっていると考えられます。
スーパーゼネコンの利益が減少していることは、建設業界全体の厳しい環境をあらわしているといえ、単価競争や受注合戦などがまたぶり返し行われれば、資金面での体力が乏しい小・零細業者は真っ先に弾かれてしまいます。
主要産業のない地方などは建設業が基幹産業となり、地域の雇用や経済を支えています。
今後、建設業の動向を確認していきたいところです。