地上建物よりも、地下建物の建設工事はコストが高くかかるといわれています。
建設費用が割高になることを十分に理解した上で、地下建物の建設を決めることが必要ですが、具体的になぜ割高になるのかご説明します。
地面より下の地下に建物を建てるときには、地上建物の建設と比べると色々な部分で必要となることが増えます。
たとえば追加で必要となることとして、
・掘削土留め仮設擁壁
・掘削土とその搬出
・分厚い鉄筋コンクリート造
・外壁面を防水する
・地下外壁進入水の湿気を封じる二重壁
・進入水排水汲み上げポンプ
・湿気の除去用空調換気
・採光窓用ドライエリア
・法令規定による避難設備・消防設備
などが例として挙げられます。
地下建物を建設するときには、地面から垂直に掘り下げていくことになります。
掘り残された土面は地肌を見せますが、そのままにすると土の自重土圧などで土面が内側に倒れてしまうでしょう。
地下建物が完成できれば建物で土圧を支えることはできても、完成までは土面が倒れない支えが必要なため、擁壁を仮設しなければなりません。
仮設擁壁は、地上建物を建設するときの足場の代わりとなる部分ですが、地下擁壁を構築するまでの期間は長くなりがちで、その分費用も地上の足場より多く必要となります。
土留め擁壁の設置後は、地下建物部分の土を場外に運び出すことが必要です。
ショベル重機で土を掘り、ダンプカーに移して場外処分場に運び出す作業が必要ですが、地上建物を建設するときには必要のない作業といえます。
土を掘り進めていくと土留め擁壁が見え始めますが、土留め擁壁が自立できなくなるため内部から水平につっかえ棒で支えなければなりません。
土を地下建物の底まで掘り進めていくと、床付けと呼ぶ鉄筋棒を入れないコンクリートが打設され地下掘削は終了です。
そしてこの床の上に、地下建物の鉄筋コンクリートを組み立てていきます。
地下に建物を建設する場合、地下水などで腐食しないように、鉄筋コンクリートでつくることが必要です。
地下の周囲の土の圧力に耐えることができる構造とするため外壁も厚くなりますし、土圧で潰れないようにするため内部の部材も大きくなってしまいます。
地中は水を含む地層があるので、地下水があるときには地下建物外壁の外側面へ防水を施すことが必要です。
防水工法には、後やり工法と先やり工法があります。
地下建物の建設は、地上の建物よりも建設費用が割高になってしまう傾向にあります。
たとえば同じ面積規模の地上建物を建設するときにかかる費用を1とした場合、地下建物を建設する費用は1.5~2.0ほどかかります。
確かな予算を算出した上で、検討したほうがよいといえるでしょう。