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大成建設と鹿島建設に有罪判決?公共利益反するリニア談合事件とは

2021.08.10
分類:その他

リニア中央新幹線の建設工事は、沿線各自で進んでいる状況ですが、実際には様々な問題が起きておりスムーズに進んでいないところもあります。

そのような中で起きたリニア中央新幹線工事をめぐる大手ゼネコン4社の談合事件で、独禁法違反(不当な取引制限)罪に問われた大成建設の元常務執行役員と、鹿島の元専任部長両被告と法人としての両社の判決が20213月1日に東京地裁で行われました。

それによると、両被告にいずれも懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役2年)、両社に罰金をそれぞれ2億5,000万円(同罰金3億円)支払うように言い渡したとされています。

大成建設と鹿島建設それぞれに下された判決に理由

これは談合を認めた大林組と清水建設の担当者からの供述などを基にして、4社が受注調整や見積価格についてやりとりしていたと認定したからです。

弁護側は工事を発注したJR東海が受注業者を事前に決めていたため競争はなく無罪を主張していたものの、JR東海はコストダウンを強く追求していたため4社には競争させる意思があったとしています。

その上で希望している工事を確実に受注し、価格競争を避け利益を確保することが目的だったことを指摘し、見積価格を高止まりさせたことは公共の利益に反するとし建設業界の信頼を著しく損ない社会にも大きな影響を与えたことを非難したようです。

 

大林組と清水建設に対しては?

大成建設と鹿島建設は、大林組と清水建設の担当者と共謀して2014年から2015年に品川駅・名古屋駅の新設工事3工区で受注予定企業を決め、JR東海に提出する見積価格を教え合うなど競争を制限していたとされています。

事件を巡り大林組と清水建設も同罪に問われることとなり、2社も談合を認め罰金2億円・18,000万円が確定しています。

 

今後の裁判の行方に注目が集まるところ

この判決に対し大成建設は主張が認められなかったことを遺憾とし、控訴を検討していると答えていました。

裁判で引き続き独禁法違反がなかったことを強く主張し、法令順守を徹底しつつ事業活動を推進するとしています。

鹿島建設も同様に主張が理解されなかったことを遺憾とし、判決内容の詳細を確認後弁護人と対応を検討するとしました。

国を代表するスーパーゼネコン4社が、国家的なプロジェクトであるリニア開通工事の受注調整を行ったことが本当であれば、建設業界にも大きな打撃を与えることになるといえるでしょう。