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建設業の受注工事を巡る談合事件が後を絶たない理由とは

2021.08.11
分類:その他

公共の建設工事の受注を巡って、談合が行われたというニュースなどを耳にすることもあるでしょう。

最近では大規模プロジェクトであるリニア新幹線建設工事に、大手ゼネコンの談合事件が発生したことが大きな話題となりました。

そこで、そもそも談合とはどのようなことを意味するのか、なぜ後を絶たないのかその内容についてご説明します。

談合とはどのような行為?

談合とは、公共工事など競争入札で競争するはずの業者同士が、事前に話し合いで協定を結ぶことをいいます。

高い価格で落札することや持ち回りで落札することで、業界全体が利益を不正に分け合うことを意味します。

談合は公正な価格競争を害することであり、発注元である国や地方公共団体の支出=税金負担を大きくすることになるため、刑法で禁じられている行為です。

公共工事を請け負う企業が、実際は入札競争が行われず事前に決めた金額と業者に落札されてしまうと、高い価格で仕事を受注できるようになります。

表向きは1社が落札したように見せかけ、裏ではその利益が他社にも渡ることになりますが、そこで使われるのは国民が納めている税金なのです。

 

なぜ談合が発生しなくならないのか

競争入札にも種類があり、どの企業でも自由に参加できる「一般競争入札」もあれば、発注側が入札を可能とする企業を事前に指定する「指名競争入札」があります。

一般競争入札の場合、不適格な企業も参加可能となるため指名競争入札が実施されることが多いといえますが、入札に参加できる企業名は事前に公開されます。

しかしこれにより、入札に参加する企業同士が事前に集まり、いくらで入札するのか金額を相談したり仕事を順番に請け負うことができる形をつくったりなど話し合いで決めやすい状況をつくってしまいます。

企業同士が結託しやすい環境をつくっていることが、談合がなくならない理由といえるでしょう。

 

談合を防止するための対策

入札談合等関与行為防止法(2003年施行)で、公務員が入札談合に関与したときには公正取引委員会により所属機関に改善を求めることができるとされています。

さらに2005年に独占禁止法が改正・20061月施行となり、公正取引委員会が家宅捜査や書類を差し押さえることが可能となりました。

全国の地方検察庁が談合捜査を実施できるようになったのです。

また、入札談合や企業間の不当な協定(カルテル)に関わった企業について、公正取引委員会が行う立ち入り調査前に談合に参加していた申告を行えば、課徴金を免除するという「課徴金減免制度」も設けられました。

2番目に申告した企業は半分に減額されるため、申告が急激に増えるなど対策にもつながっています。