高齢化が進む日本では、介護施設などの社会福祉施設へのニーズが高まっているところですが、既存の建物の改修・改築で新たに社会福祉施設など特殊な建築物が建設されていくことが多くなると予想されます。
しかし建築するにあたり、いろいろな法律を順守しなければなりませんが、具体的にどのような施設が社会福祉施設に該当するのか事前に把握しておきましょう。
社会福祉施設では、利用者に応じて社会生活の中で必要とされるサービスが提供されます。
援護・育成を目的にした施設であり、次の種類に分けられそれぞれ適用される法律は異なります。
・老人福祉施設
・障がい者支援施設
・保護施設
・婦人保護施設
・児童福祉施設
・その他の施設
社会福祉施設では、利用者の安全を守ること優先することから、次の項目についてそれぞれの施設で基準が定められています。
・部屋の広さ(定員)
・建築物の採光
・防火設備(耐火・準耐火構造を含む)
・廊下の幅
など
同じ社会福祉施設で区分されていても、建築基準法では用途ごとに区切られることになり、決められた基準に違いが出てくることは注意が必要となります。
各施設は広さに合わせて定員数が決まります。さらに採光のため、必ず窓やその他の開口部(扉)を設けることが必要です。
防火設備についても細かい規定があり、施設を建築しようとする地域の条例などの制限も加わるため事前に確認しておいたほうがよいでしょう。
防火設備については、
・耐火性能を確保すること
・防火上、主要な間仕切壁を準耐火構造とし、小屋裏または天井裏まで到達すること
・排煙設備を設置すること
・非常用照明装置を設置すること
・階段の寸法(幅・蹴上・踏面)
・手すりの設置、主たる階段における回り階段の禁止
・階段・エレベーター・吹き抜け部分など竪穴部分の防火区画
・廊下の幅
などの規定を守ることが必要です。
なお、建築基準法では建物の建築にあたり、その建物をどのような用途で使用するのか申請しなければなりません。
建物を建設することは、単に建築基準法に従うだけではなく老人福祉法や児童福祉法、バリアフリー法・消防法・各地域の条例といった色々な法律が絡むことも留意しておく必要があります。
上記で紹介した内容はほんの一部に過ぎないため、社会福祉施設のニーズは高い反面、建設においては様々な高いハードルをクリアすることが必要であることを留意しておくべきでしょう。