建設現場で使用する木材のサプライチェーン強化は至上命題といえますが、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により起きたウッドショックのようなできごとに左右されにくい流通・生産が必要といえます。
これまでは資材の供給先を中国など海外に頼っていた日本ですが、今後は国産材を軸としたサプライチェーンを模索していかなければならないでしょう。
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、インバウンドの恩恵を受けてきた観光業界や宿泊業、そして東京オリンピック・パラリンピックを含むイベント産業などは大打撃を受けました。
そして住宅産業も例外ではなく、突然の住宅設備の品薄などの影響で、住宅事業者と施主を大きく混乱させることになったといえます。
設備用の部品や資材などの供給が停止されたのは、その生産地が主に中国だったからであり、サプライチェーンの一部が途切れたことで期日に竣工・引き渡しができない状況が発生しました。
大手であれば確保していた在庫で代替えなど交渉し、対応することはできたようですが、中小の場合には設備の確保・設置ができず竣工・引き渡しに至らなくなり、工事代金回収が困難になるといったケースもあったようです。
資金力のない中小の場合には、工事代金が回収できないことで日ごろから厳しい資金繰りがさらに悪化し、倒産に至ってしまうことになりかねません。
いつ収束するかわからない新型コロナウイルス感染問題ですが、日本経済にも大きな悪影響を及ぼし続けています。
日本の住宅産業は木材・建材の調達を、主に東南アジアや北米など広範囲に依存している状況であるため、一層の状況悪化も考えていく必要があります。
調達困難な部品や部材が増えればさらに状況は悪化するでしょうし、景気の悪化や感染拡大防止に向けた外出自粛などによる影響も及んでいます。
住宅展示場へ来場する人数は減り、住宅そのものの買い控えなども起き、顧客の住宅購買マインドは低下しているといえる状況です。
度重なる緊急事態宣言の発出で、しばらく続くと考えられる外出自粛の要請など、状況は日々変化しているといえるものの改善されているとはいえません。
ただ今後自体が収束したときに向けて、海外に資材や設備の供給を依存するのではなく、国内でのサプライチェーン構築が求められています。
それにより、今回の新型コロナウイルス感染拡大といった事態が起きたときにも、材料不足という理由で工期を遅らせることは回避できるはずです。