建設工事で使用する機械の心臓部といえるのがエンジンですが、このエンジンの修理やメンテナンスにかかるコストは、機械を稼働するための経費の中でも大きな割合を占めています。
鉱山用ダンプトラックなどの場合、機械全体の稼働経費の約4割がエンジンにかかる経費というほど大きな比率のため、できるだけ不具合や故障を発生させないほうがよいといえるでしょう。
エンジンの早期摩耗や故障など、不具合を発生させる原因のほとんどは、運転操作が適切でないことや、メンテナンスが正しく行われていないことです。
そこで、建設機械のエンジントラブルを防ぐために何をすればよいのか、寿命を延ばすコツなどを解説していきます。
ディーゼルエンジンの場合、
・吸入
・圧縮
・燃焼
・排気
という4つの燃焼プロセスで設計されていることがほとんどです。
ディーゼルエンジンは1分間約2,000回転するほどの高速運転であるため、内部は高温・高圧の状態となり、ピストン・ピストンリング・ライナ・吸気排気バルブなどの摩耗も激しくなります。
摩擦はエンジン寿命に影響するため、できるだけ摩擦を抑えることができればエンジンの寿命を延ばすことができるでしょう。
メンテナンスもしっかり行っておく必要がありますが、特にホコリや砂・エンジンオイル・ 燃料には注意が必要です。
ホコリは研磨性が高い物質であるため、早期摩耗の原因となります。エアクリーナが破損している場合やメンテナンスが不適切なときに侵入しやすくなるため注意してください。
品質の悪いオイルや長期間に渡り使い続けている場合、エンジンオイル中のススを清浄分散できず、エンジンバルブシート下部にカーボンの堆積物を形成することになります。
堆積物はバルブシートとバルブヘッドの間にかみ込むことがあるため、バルブの一部が開放したままとなり、高温の排気ガスがつねに吹き付けられるバルブヘッドやバルブシートが傷つき、エンジンの正常作動はできなくなります。
高い品質のオイルを使っている場合でも、長期間使用し続ければ粘度が上がり、オイルを酸化させますので、定期的に交換することが必要です。
低品質な燃料を使っていると、異常燃焼や不安定な爆発を引き起こすリスクを高めます。
爆発により燃焼室内は急激な圧力上昇で、ピストンリングに大きな負荷を与えることになるでしょう。
ピストン早期摩耗やリング破損の原因となるため、低品質な燃料を使用しないようにしてください。
エンジンの寿命をできるだけ延ばすためには、次のことを実施するようにしましょう。
・エアクリーナインジケータが赤になっているときにはフィルタエレメントを清掃、または交換する
・CAT推奨のエンジンオイルを使用する
・オイル交換は3か月ごとなど定期的に行い、フィルタも同時に交換する
・軽油以外の粗悪燃料は使用せず、燃料は必ず軽油を使う
・夏は2分、冬は5分の暖機運転を実施する