建築物の設計・工事監理を行う専門家である「一級建築士」の場合、扱うことのできる建物には制限がありません。
個人住宅、大規模マンション、超高層ビルなど何でも扱うことができます。
二級建築士の場合、規模・用途・構造などに制限がありますが、一級建築士なら建物用途・延べ面積・高さ・軒の高さ・階数などの制約も受けることなく、すべての建築物について設計・工事監理ができることがメリットです。
そこで、一級建築士とはどのような資格なのか、建築士が担当する業務について説明します。
一級建築士は国家資格ですが、設計・工事監理などの業務を行う資格保有者のことを指します。
専門教育を受け、一定期間の実務を経験すれば受験資格を得ることができますが、一級建築士試験の受験資格は最短でも25歳です。
一級建築士であれば、超高層ビルや一般住宅まで様々な建築物に係ることができます。
建築物の設計・工事監理など担当する技術者の資格を定め、業務の適正を図り建築物向上に寄与させることを目的に、昭和25年、建築士法が制定されました。
建築士が行うことのできる業務は建築士法で定められていますが、主に次のような業務が挙げられます。
施主から発注された注文を受けて、建てる目的や希望するイメージに合う建築物を考え、図面としてまとめる「設計」や、図面としてまとめた内容で工事が行われているか確認する「工事監理」を担当します。
設計・工事監理の契約を結ぶよりも前に、施主に書面を交付した上で、重要事項の説明を行うことが義務づけられていますが、重要事項説明も建築士が担当します。
工事契約の締結への立ち会いや、施主に代わり各種手続を行うこともできます。
工事現場の工程・コスト・安全などを管理し、指示どおり施工されているか指導・監督するのも建築士の仕事の1つです。
建築物の老朽度・耐用年数・耐震性など調査し、建築物の価値を鑑定します。
施主が行う役所への計画書届出などの手続も代行できます。
建築従事者を指す言葉として、建築士ではなく「建築家」と呼び方もあります。
この呼び方は明治期から存在していますが、建築士有資格者である必要はありません。
ただ、建築家と呼ばれる多くの方は、一級建築士の有資格者であるといえるでしょう。