日本の社会・経済を支える業界といえるのが建設業ですが、重層下請け構造や就業者の高齢化、人材不足など抱えている課題も多くあります。
そのような状況でも社会的役割として建設業は何を求められているのか把握するために、建設業界の現状と将来展望を知り、社会インフラ整備や民間投資を支えるために必要なことは何か考えてみましょう。
建設業の役割は、人々の暮らしや経済活動を支えることです。
安心・安全に人々が生活する上で必要不可欠な業界といえますが、記憶に新しい東日本大震災など自然災害で被災したエリアの復旧活動なども役割の1つといえます。
消防・警察・自衛隊などが被災地に救援で現地に入るためには、まずは道路の機能を回復させることが必要です。
瓦礫の処理や段差の解消を行い、救援ルートを開ける道路啓開なども担当することになるため、災害のときの応急対応では建設業は大きな役割を果たしているといえます。
普段の道路・河川・堤防などインフラを新しくつくるだけではなく、維持・管理に向けた整備なども行います。
他にも住宅建設や都市開発など民間工事を請け負い、人々が安心して生活ができる環境や場所をつくっていくことも建設業の大きな役割です。
建設業は今、持続危機の状態にあるともいわれています。
問題となるのは10年後であり、その理由として挙げられるのが現場で働く技能者の高齢化です。
他産業と比較すると今働いている技能者の高齢化が進んでいる業界の1つであり、少子高齢化の進む日本では、今後さらに若い世代が減少すると考えられます。
現在は60歳以上の方が人口のうち多くの割合を占めており、10年経てば現場から引退する年齢となります。
引退した技能者と同じ数の入職者がいればよいですが、若い世代に敬遠されがちな業界であるため、入職希望者が集まりません。
一定数の人材を確保した上で生産性向上を組み合わせることにより、インフラ整備や民間投資を支えることが可能となります。
しかし仮に人材が集まったとしても、入職後すぐに戦力として働いてもらえるかといえばそうではなく、一定の専門スキルや経験が必要となる作業が多くを占めています。
また、建設現場では多くの企業が協力しながら作業を進めていくことになるため、連絡や調整などコミュニケーション能力も必要です。
入職して活躍できる人材になるまで10年は必要といわれているため、多くの既存の技能者がリタイアする10年後に備えるには、今すぐ多くの人材を集めることが必要となります。
ただし人材不足は深刻化しており、採用活動が進んでいないのが建設業の現状といえるため、解決方法を検討することが急務と考えられるでしょう。