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建設現場で発生した災害は誰の労災保険から補償される?

2016.10.07
分類:その他

建設業においての労災保険は、建設現場でそれぞれの下請会社を独立した事業として取り扱っていません。下請会社は元請会社と一体であるとみなされるため、1つの事業体としての取り扱いとなります。建設現場内の1つの事業体の労災保険への加入手続きは元請会社が行うことが必要となっていますので、建設現場作業で事故が発生した場合には元請会社だけでなく下請会社で使用されている全ての労働者は元請会社の加入している労災保険で補償されることになります。

 

 

労働保険とは?

労働保険は労災保険と雇用保険の総称で、政府が管理、運営している強制的な保険制度です。労働災害には健康保険は使えませんので、労働者の通勤や業務上の事由での負傷や疾病、障害、死亡などに対する補償は労災保険から行われます。労働者を一人でも雇用すれば労働保険の加入手続きを行い、保険料の納付を行うことが原則になっています。未加入で労働災害が発生して労災給付が必要になれば、遡って保険料を徴収されるだけでなく給付に要した費用の全部もしくは一部まで徴収される場合もあります。

労災保険の義務は誰に?

原則として労災保険の保険料納付や加入手続などに対する義務は元請会社が負うことになっています。ただし雇用保険、事務所労災、社会保険などについてはそれぞれの会社で手続きを行い保険料の納付を行うことが必要となります。

・元請会社とは?

元請会社は工事の発注者から直接工事を請け負う業者で、元請会社から工事の施行を部分的に請け負う業者が下請会社です。一人親方は労働者を雇用しないで事業を単独で行っている人のことを言います。

一人親方などの補償は?

労災保険は通勤途中や業務中に災発生した害について給付を行うものですので、労働者ではない会社の中小事業主や一人親方については元請会社の加入している労災保険で補償を受けることはできません。ただし一定の加入条件を満たせば労災特別加入制度を利用することができ、そこから労災給付を受けることが可能になります。

・特別加入の条件

元請会社、下請会社、孫請会社の事業主にあてはまる中小事業主が特別加入する場合には、自らが元請となって行う工事について労災加入していること、労働保険事務組合に事務委託していることが条件となります。一人親方が特別加入するには、一人親方の労災を取り扱っている団体や組合に加入することが必要です。

建設業に発生した災害の補償について

建設現場で事故が発生した場合、その労働災害に対する補償は誰が加入した労災保険から受けることができるのかをしっかりと理解しておきましょう。建設業は勤務中に労働者が災害に巻き込まれてしまう危険性の高い業種です。労働災害を防ぐためにも事故が起きない対策を講じることも必要ですし、いざという場合に補償を受けることが出来る状況を確保しておく必要があります。