建設工事業情報ラボConstruction Business Information Lab

建設業者が加入する労災保険の手続きについて

2018.08.24
分類:その他
一般的な労働保険と違って建設業の労災保険は、建設工事の元請業者が加入する労災保険で下請業者の労働者までも補償する形になります。 労災保険料も元請工事額を基準として計算することになるなど、少し違った部分があるので内容を把握しておく様にしましょう。

保険手続きはいつまでに必要?

建設工事の元請業者は、工事が開始されて10日以内に保険関係成立届の提出が必要になります。 建設工事が開始時点で提出がされていなくても、自動的に労災保険に加入したことにはなりますが、手続きができていない期間中の労災事故へは費用徴収制度が適用となります。 この制度は、保険への加入手続きに対して行政から指導などがあったのに事業主が従わない期間において労災事故が発生した場合に適用されます。この場合、治療費など保険給付額の100%が徴収となります。 また、行政指導は受けていないけれど、工事が開始されて1年を経過してもまだ加入手続きが行われていなかった期間中に労災事故が発生した場合も適用となります、この場合には、治療費など保険給付額の40%を徴収という形です。

労災保険における継続事業と有期事業

労災保険においての継続事業とは、事業が終了する時期が予定されていない場合です。反対に有期事業は終了が予定されている場合をいいます。 一般事業であれば倒産しない限り事業は続くため継続事業に該当しますが、建設工事は工期が設けられていて完成すれば終了なので有期事業に該当します。 さらに有期事業は単独有期事業と一括有期事業に分けられます。 □一括有期事業 一括有期事業は有期事業の中でも、労災保険料の概算見込額が160万円未満、もしくは確定保険料100万円未満で、さらに請負金額が1億9千万円未満である場合です。 一定要件を満たすことで、工事を取りまとめて1つの保険関係として処理することが可能になります。 元請業者の本店、または支店の所在地を管轄している労働基準監督署で手続きを行うことが必要です。 □単独有期事業 単独有期事業は一括有期事業には該当しない有期事業で、それぞれ工事ごとに工事現場の所在地を管轄している労働基準監督署で手続きを行う必要があります。工事が終了するたびに保険料の精算を行わなければならないので注意しましょう。

間違いなく手続きを進めることが大切

建設業の労災保険の手続きは、一般事業と異なる部分が多いといえます。そのため、小規模な中小の建設会社では、事務処理が大きな負担になるかもしれません。労働保険事務組合などに手続きを代行してもらう事もできますし、専門家などに相談しながら行うこともできますので、間違いのないように手続きをすすめましょう。