建設現場や工場から発生する騒音はどこまでなら許される?
建設業を営んでいれば、工事現場や工場の周辺の方から騒音に対するクレームを受けることがあります。
作業を行う上で、騒音が発生する問題はどうしても避けることができませんが、もしクレームを受けた時には適切な対応が求められます。
そこで、もし建設業などの事業者が周辺住民から、工事現場や工場からの騒音についてクレームを受けた場合、どのような対応を行えばよいのかご説明します。
すべての騒音が慰謝料などの対象というわけではない
騒音に限らず、振動や悪臭など、生活を送る上で関係する問題については、ある一定の限度を超えた場合、慰謝料や損害賠償請求の対象になります。
これを受忍限度といいますが、社会生活を送る上で、一般的に受忍すべき限度を超えていると損害賠償請求の対象になるという考え方です。
すべての騒音が慰謝料などの対象になるのではないため、発生している騒音が受忍限度を超えているかを基準として考えましょう。
□発生している騒音が受忍限度を超えている場合
もし騒音が受忍限度を超えているのなら、防音対策を行い発生する騒音を下げることが必要となります。もし何の対策も行わなければ、裁判所などで慰謝料の支払いを命じられることになってしまいます。
□発生している騒音が受忍限度を超えていない場合
仮に受忍限度の範囲内の騒音だとしても、やはり周辺住民に対して理解を得る努力は必要です。そのため、できるかぎり防音対策を行うことを検討しましょう。
受忍限度は騒音規制法の基準に従う
受忍限度は慰謝料などが発生しない、法律上の許容範囲ともいえますが、事業活動や工事で発生する騒音は、「騒音規制法」という法律の中に規制があります。
騒音規制法では、工事現場や工場などで発生する騒音について、都道府県知事が規制をかけるエリアや音量について基準を定めています。
例えば東京都を例に、騒音規制法による規制基準を確認しておきましょう。
□工場や事業所などの騒音に関しての規制基準
工場が所在する用途地域によって異なりますが、工業地域の工場なら、騒音の規制基準は次の通りです。
・午前6時から午前8時までは60デシベル
・午前8時から午後8時までは70デシベル
・午後8時から午後11時までは60デシベル
・午後11時から翌日午前6時までは55デシベル
なお、工場や事業所と隣地の境界線で計測した騒音については、その音量が上記の音量以内であることが規制基準とされます。
□建築や解体工事における騒音に関しての規制基準
作業内容に応じて、80デシベルから85デシベル以下であることが基準です。
デシベルという単位は音の大きさをあらわしますが、数値が高いほど音が大きいという意味です。
静かだと感じるのは45デシベル以下が目安ですので、80デシベルの大きさとは地下鉄の車内で感じる騒音といえます。
なお、建築工事においては1日の作業時間や、同じ場所で連続して作業できる日数に制限が設けられています。
他の都道府県でも規制基準は規定されていますので、対象となるエリアの基準を確認し、受忍限度を超えている場合には直ちに騒音対策を講じるようにしましょう。