建設業界では協会けんぽの健康保険と建設国保のどちらに加入したほうがよいのか
現在、国土交通省では建設業の許可業者に対し、社会保険への加入を徹底するような指導を行っています。確認の対象となっているのは、健康保険・厚生年金保険・雇用保険で、特に健康保険と厚生年金については厳しく指導されています。
指名競争入札や経営事項審査などでも保険へ加入済か確認されているため、未加入という状況では仕事を引き受けることは難しいといえるでしょう。
どのような場合に加入義務が発生する?
健康保険と厚生年金については、法人なら常用雇用者が1人でもいれば加入が義務付けられ、個人事業者なら常用雇用者5人以上で強制適用となります。
ただし健康保険(協会けんぽ)の適用除外の承認を受け国保に加入している場合には社会保険に加入しているとみなされます。
建設国保のほうが事業者にとってはメリット?
建設業界で問題となっている健康保険への未加入問題ですが、けっして健康保険(協会けんぽ)しか選択肢がないということではありません。
経営状況や方針などにより、健康保険のみ建設国保(土建国保等)に加入という形でも可能です。
建設国保で徴収される保険料も通常の国保と同様に、組合員や家族がケガや病気をしたときの医療費やサービスに使われています。
また、一般的な国保と違い建設国保は保険料が低めなので、加入者の負担も軽減できる点がメリットです。
従業員にとっては健康保険のほうが得?
健康保険(協会けんぽ)に加入すれば保険料は労使折半となるため、会社の費用負担は大きくなるでしょう。しかし従業員にしてみれば、所得保障が手厚くなるというメリットがあります。
ただし資金力が不足しており、すべての従業員の保険料半額分を負担することは困難という場合もあるでしょう。
この場合、健康保険は土建国保に加入しているという方については、そのまま継続してもらうことを選択しなければならなくなるかもしれません。
協会けんぽでなくても社会保険として認められる
建設国保の被保険者が法人を設立、もしくは5人以上雇用する個人事業所となった場合でも、健康保険被保険者適用除外承認申請を提出して厚生年金保険の適用事業所になることはできます。
元請企業の中には、協会けんぽでなければ社会保険ではないという誤解をしていることもあるようです。
しかし建設国保でも、健康保険適用除外の承認を受けており、厚生年金に加入しているのなら社会保険に加入している事業所としてみなされますので安心してください。