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建設業界で重視される現場のリスクアセスメントとは?

2020.09.19
分類:その他
建設業で発生する労働災害は減少傾向を維持しており、死亡災害はその傾向が顕著にあらわれているといえます。 しかしすべての産業でみれば死亡災害の3分の1以上を占め、死傷災害は5分の1以上を占めているため、危険性・有害性などを調査し対策を実施するリスクアセスメントに取り組むことが必要です。

建設業界で発生する災害の特徴

建設業界で起きる災害の直接的な原因で多いのは、開口部に手すりが設けられていないなど基本的な事故防止措置が講じられていなかったなどの事例が散見されます。 近年では厳しい経営環境の下で、公共工事が減少したことにより競争激化を背景としたダンピング受注が影響し、事故防止対策の不徹底などが懸念されている状況です。 さらに建設業は重層請負構造となっており、このような性質を踏まえた上で労働災害防止対策を講じていかなければなりません。

建設業の特徴

建設業の重層請負構造の主な特徴として、 ・一定期間内に成果物を引渡し次ぎの工事に移動するなど、短期間で現場が変化することに加え、慣れない現場環境で作業することがある ・個別の受注生産であるため同じ種類の建設現場物でも構造や規模など生産条件が異なること ・異なる事業者の作業者と同じ場所で作業するため、自社の作業者の安全対策を徹底したとしてももらい事故が起きる可能性があること ・現場ごとに管理・監督者が変わるためコミュニケーションが不足しがちとなる上、元請により生産体制や施工法なども違うため短期間で理解しにくいこと ・他の事業者が設置した設備・機械などを使用することになるので、災害防止対策上、保守・整備・管理に差があり手直しが難しいこと などが挙げられます。

建設事業者が行うべきリスクアセスメントとは?

以上のことから事業者は、労働者に対し報酬を支払うだけでなく、一人一人の安全と健康を確保して安心できる職場環境を提供しなければなりません。 作業前に災害や事故の原因となるリスクを取除くことが必要であり、その基本的な枠組みを定めるリスクアセスメントが重要といえます。 作業計画を立てるときにも十分に時間をかけ、実際に行う作業の段取りや手配に支障がないか事前に確認しましょう。 設備や配置が適正なものか、問題がある場合には解決しておくなど、労働災害を防止する対策をしっかり行うことが求められます。 労働災害防止対策にかかった経費は原価に反映されることから、労働者の安全と安心のためにも経営者が責任を持ち実施していくことが必要です。