建設工事業情報ラボConstruction Business Information Lab

建設従事者数は2030年どのくらい必要?シナリオごとの考察

2021.07.21
分類:その他
2030年の建設技術者需要数は今後さらに減少することが見込まれており、厳しい人材確保の問題をどのように解決するかが重要となっています。 また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により建設投資も減少することとなり、建設技術者の需要数にも変化があらわれているといえます。

2030年に必要となる建設従事者数

リーマンショックの際の実質GDP成長率はマイナス3.6%、民間非住宅・土木建設投資額はマイナス15.6%でした。 新型コロナウイルス感染症の収束遅れで先行きの見通しが立たない中、2021年度の民間非住宅・土木の建設投資額は20%減少することが仮定されており、2021年の必要な建設技術者数は50万5000人になるとされています。 2022年以降は増加傾向が続き、2030年には成長状況に応じて需要数は49~55万人となることが予想されていますが、いずれにしても人材確保が重要となるでしょう。

今後のシナリオによって必要な建設従事者数は変動する

ベースライン成長シナリオでは2022年の不足数は2万7040人となり、その後少しずつ不足数が減少し2030年には2万160人不足するとされているようです。 成長実現シナリオの場合には2022年には2万7002人の建設従事者が不足するとされ、その後急速に不足数は増え2030年には5万1394人不足すると予想されています。 ゼロ成長シナリオでは2022年の建設従事者不足数は2万2294人に増えるものの、その後減少傾向が続き2027年には過剰となり、2030年には9299人余剰が発生するという計算です。 コロナ禍で建設投資額が減少したことに伴い、建設技術者の需給はかなり緩和されるものの、やはり一定レベルの人材が不足することは避けられないと考えられます。

企業は建設従事者の採用をどのように考えていくべきか

2030年の需給は、ベースライン成長シナリオで2万人、成長実現シナリオで5万1000人まで建設従事者が不足するとされていますが、ゼロ成長シナリオだと2027年には過剰に転じ2030年に9000人が過剰という試算です。 今後、経済動向によって建設従事者の需給は大幅に変わってくることが予想されていますが、緊急事態宣言の再発出など新型コロナの収束がいつになるかわからない状況でさらに大きな変動があるとも考えられるでしょう。 短期的には縮小マーケットを想定しつつ、中長期的に建設市場の動向により建設従事者がさらに不足する可能性もあると考え、人材の採用について戦略を見直すことが必要といえるでしょう。