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建設業が守らなければならない特別条項付き36協定の上限規制とは?

2021.08.17
分類:その他
2024年4月からは、建設業にも労働時間の上限規制が適用されます。 労働基準法の労働時間の上限は1日8時間、1週間に40時間となっていますが、建設業ではこの上限を超えた労働を必要とすることがほとんどのため、多くの企業で36協定を労使間で締結している状態です。 では、新たな労働時間の上限規制の適用により、建設業ではどのような労働時間となるのか確認しておきましょう。

36協定とは?

多くの建設業では労使間で36協定を締結しているでしょうが、この36協定とは、時間外労働や休日労働に関する協定のことです。 労働者に時間外労働や休日労働をさせる際、事前に労使間で36協定が結んでおくことにより、1週間15時間・1か月45時間・1年間360時間を上限とした時間外労働が可能となります。 ただ、建設業では完成までの納期が迫っており、この上限では間に合わないケースもめずらしくありません。この場合には、特別条項付き36協定を結ぶことでさらに労働時間の上限を引き上げることが可能です。

特別条項付き36協定の上限

ただし特別条項付き36協定を結んでいても、上限を延長する回数は年6回までという制限があり、あくまでも緊急時や繁忙期を乗り切る例外措置でなければなりません。 何となく忙しくなりそうだから…といった状態で特別条項の利用はできず、あくまでも予見できないほど業務が大幅に増加したことで臨時的に限度時間を超え労働が必要とする場合に限定されています。 さらに特別条項付き36協定にも上限規制があり、年間720時間以内までです。単月では休日労働を含め100時間未満、複数月平均は休日労働を含め80時間以内という条件も満たすことが必要になります。

上限規制を守らなかった場合は罰則の対象

労働時間の上限規制を守らなかったときには、6か月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金が科せられてしまいます。 悪質なケースは厚生労働省が企業名を公表することもあるため、企業イメージ低下により社会的信用を失い、事業を存続させることも難しくなるでしょう。 ただ、特別条項付き36協定の労働時間の上限規制が最大とはいえ、建設業では例外が設けられています。 例外に該当するのは災害復旧や復興事業に従事するときで、年間最大720時間という上限は守らなければならないものの、月最大100時間未満・2~6か月平均80時間以内という規制は適用除外となります。 なお労働時間の上限規制の例外措置なので、割増賃金の支払いは免除されませんので、その点は間違わないようにしてください。