建設業で使用されている「スリーブ」という用語の意味とは?

建設業で使われる建築用語に「スリーブ」という言葉がありますが、これは構造体に配管を通すためにあける孔のことです。
それとは異なり、鉄筋コンクリートの壁・床・梁・基礎などに給排水管や設備配管の貫通孔として必要となる筒状の管を指す言葉としても使われています。
具体例としては、
・コンクリートでの建設で設備配管のため管を抜くために使用する紙製のボイド管
・円形のコンクリート柱の枠に使用するボイドチューブ
・水道管・下水道管・電線管などに用いられる塩化ビニル管
などが挙げられます。
さらに型枠工事のときに使用する器具であり、エアコンホースの取り付け口のことを「スリーブ」と呼ぶこともあるなど、様々な使われ方がする言葉なので間違わないようにしましょう。
スリーブが必要な理由とは?
スリーブとは構造体に配管を通す孔を指していますが、梁貫通とも言います。
部材に孔を開けることを断面欠損といい、スリーブをあけるときはその孔径・位置・間隔など適切な対応が重要ですし、例外を除く以外は必ず補強が必要となります。
そもそもスリーブが必要となる理由は、建物にはいろいろな配管が存在するからです。
電気・空調・機械など、設備機器とつなぐ配管は天井などの中に隠れているため、外からは見えません。
配管がむき出しになっていると、見栄えも悪く生活環境に影響を及ぼすからです。
そのため、配管は天井から床下からの空間内で通すことが必要となり、さらに自由に曲げたり形状を変えたりできないため、天井と床下の空間が狭ければ梁を貫通させ配管を通すことが必要になります。
スリーブ径・位置・間隔には規定がある
スリーブは適当にあければよいわけではなく、孔径は梁せいの3分の1以下といった規定があります。
また、梁に対して孔を空ける位置にも規定があり、中心で抜くことが難しいときには孔の端部からコンクリート面までの距離がD/3残るようにすることが必要です。
そして間隔にも規定がありますが、たとえば連続してスリーブを設けてしまうと、結果として長い孔をあけてしまうことになるからといえます。
孔は柱面から1.5D(Dは梁せい)以上離すことが必要とされており(地中梁は除く)、並列するときの中心間隔は孔の平均値の3倍以上でなければなりません。
なお柱と梁の一体性が失われるため、柱際にスリーブをあけることはできないとされています。
そして梁にスリーブをあけるということは、梁の鉄筋を切断することになるため、適切な補強も必要になります。