建設工事業情報ラボConstruction Business Information Lab

建設会社が今後注意しなければならない従業員の労働時間の上限規制とは?

2021.10.27
分類:その他
2019年4月からは、一部の業界を除いて労働時間の上限規制が適用されることになり、従業員の残業時間などに注意が必要となっています。 建設業の場合、2024年4月から規制が適用されることになっており、一定の猶予期間中に上限規制を遵守できる環境の整備が求められます。 そもそも建設業界は慢性的な人手不足などを背景に長時間労働が常態化しています。すぐに上限規制を遵守できる体制を整備できないと考えられるため、猶予期間が設けられています。 しかし2024年4月からは従来までの労働環境を見直し、他業界同様に労働時間の上限規制を守ることが必要となりますので、早めに体制を整備できるようにしましょう。

何時間まで延長が可能か

労働時間の上限は、原則、労働基準法に規定されているとおり1日8時間・1週間40時間までです。 上限を超えた労働を従業員に求めるときには、労使間で時間外・休日労働に関する36協定(サブロク協定)を締結しなければなりません。 36協定が締結されていることで、1週間15時間・1か月45時間・1年間360時間を上限に時間外労働で働いてもらうことが可能となります。

36協定の上限でも収まらない場合

36協定を結んでいるため、時間外労働が可能という場合でも、繁忙期や納期まで時間がないという場合にはその上限さえ遵守できないことも考えられます。 その場合、一定要件をクリアした上で特別条項付き36協定を締結し、労働時間の上限を引き上げることができます。 ただし通常の36協定の上限を超えて働かせてよいのは年6回までであり、特別条項付き36協定の場合でも年間720時間以内の上限を守ることが必要です。 単月では休日労働を含め100時間未満・複数月平均では休日労働を含め80時間以内の条件を守ることが必要なので、その点を踏まえて残業時間に注意しなければなりません。

労働時間の上限規制は必ず守ることが必要

建設業でも2024年4月からは労働時間の上限規制に注意が必要となりますが、規定されている上限を守らなかったときには6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられてしまいます。 大幅に上限を超えて従業員に働かせた場合には企業名も公表されてしまうため、会社のイメージ低下や信用を失うことになってしまうでしょう。 建設業界は休みを取りにくいことや長時間労働に及びやすいことが問題視され、その過酷な労働環境が人手不足につながっているとも考えられていますので、十分に注意するようにしてください。