建設業界が抱える課題解決に向けてICT化を進めたくても困難な理由とは
どの業界でも働き方改革を進める動きが活発化していますが、建設業界も例外ではありません。
新型コロナウイルス感染拡大の影響でリモートワークを取り入れる企業も増え、最近では「ICT」や「IoT」など最新技術を取り入れるケースも多くなってきましたが、それには様々な課題があるといえます。
そこで、ICT化を進めることによって、建設業界が抱える課題はどのように解決につながるのか説明します。
業務効率化を実現させる「ICT」
「ICT」とは「Information and Communication Technology」の頭文字の略称であり、IT技術のうちコミュニケーション・情報共有の技術をメインに、業務効率化を図ることを意味します。
建設業界で進めていくICT化とは、たとえばタブレットなどを使って図面や工数を確認することや、映像システムを使って業務指示を遠隔で行うことなどが挙げられます。
これまでは現場監督者が現場と事務所を行き来しなければならなかったのに対し、ICT化を進めることで映像を使った進捗の確認が可能となり、時間や業務を短縮・効率化できます。
現場で確認する図面も紙媒体でなくなれば、スムーズに修正や情報共有を行うことが可能となるでしょう。
結果的に人手不足が深刻化している建設業界の課題解決につながると考えられています。
建設業界ではICT化を進めにくい理由
建設業界は「人材不足」や「生産性の低さ」などの課題を抱えており、これまで受け継がれてきた技術の後継者がいない状況です。
廃業を余儀なくされるケースも少なくありませんが、若い人材不足で現場の高齢化が進んでいるのは建設業界の「きつい・汚い・危険」という「3K職場」のイメージが強いことが関係しています。
そしてここ20年ほどで発展したICT技術を使い、様々な分野の働き方が大きく変化しました。
しかし建設業界はほとんどが資本金1千万円の中小企業が占めており、ICT化を進めて働き方や職場環境を変化させたくても、資金力不足で設備投資に費用をかけることができないケースもめずらしくありません。
さらに下請けや孫請け、さらにはその先まで仕事が流れていく建設業界特有の重層下請構造による請負契約など縦割りの分業構造の根強さが、自社の判断だけで仕事のやり方を変えたくてもできない状況を作ってしまっています。
慣習ともいえる古くからの働き方が今も引き継がれているため、そのことが建設業界全体を苦しめる状況となっていると考えられます。